演劇博覧会『カラフル2』
−東海地方の若手演劇人が掲げる“風林火山”の旗の行方は!?

 2007年5月3日(祝)、4日(祝)に愛知・長久手町文化の家で、東海地方の若手演劇人たちで構成される風林火山実行委員会が、演劇博覧会『カラフル2』を開催する。このイベントは、全国各地から集まった16劇団が、2日で計32公演を行い、観客投票制で賞を決定するという、演劇フェスティバル。今回は、実行委員長をつとめるヒート猛さんに、このイベントにかける意気込みをお伺いした。 

 ヒート猛さんは、大学の演劇部を経て、劇団・超光速トイソルジャーを旗揚げし、自らが主宰をつとめるが、その劇団は2003年に解散。その後、フリーの役者として、愛知県文化振興事業団『water witch 〜漂流姉妹都市』、百人芝居『真夜中の野次さん喜多さん』、西田シャトナー演劇研究所など、年平均7本の芝居に参加。東海地方を中心に活躍している。

 実は『カラフル2』というタイトルどおり、この演劇フェスティバルは、風林火山実行委員会として2回目のイベント。その実行委員会結成と、初めてのイベント開催は、今から4年前にさかのぼる。
ヒート猛

参加団体(一部抜粋)
avecビーズ
*公式サイト


劇団Hi-T Growth
*公式サイト


劇団・幹生
*公式サイト


ニットキャップシアター
*公式サイト


てんぷくプロ
*公式サイト


よこしまブロッコリー
*公式サイト
―風林火山実行委員会を結成したいきさつを教えてください。

 当時、僕は超光速トイソルジャーという劇団の主宰として活動していたのですが、年に1本くらい、FIRE☆WORKS ENTERTAINMENTという劇団と合同公演をしていました。ある花見の席で、「また合同公演をやりたいねー」と、あるスタッフさんに相談したところ、「どうせやるなら10劇団ぐらい集めてやれば盛り上がるんじゃない?」と言われ、おお!そうか!と火が点いたのが発端でした。その場ですぐに「旗印が必要だね」「旗印といえば風林火山だ!」と、まさに勢いだけでスタートしました(笑)。

―第1回目の演劇フェスティバルはどのようなものだったのですか?

 名古屋市内のアートピアホール・アトリウムを会場とし、東海地方のエンターテインメント系の若手劇団9団体が参加しました。2日間で1500人を動員しました。会場が、言葉にできない興奮に満ちた空間となっていました。本当に楽しかったです。

―その興奮は、その後、どんなふうに広がっていったのですか?

 僕や劇団のことを、カラフルで知りました、と言ってくださるお客さんが増えたこと、参加劇団からさまざまな意見や感想をいただいたことは、ひとつの大きな成果でした。そして、参加した人たちがつながって、客演等の交流が活発になったこと、出会いが出会いを呼んで、新たな道を見つけた人がいたりしたこと。そんなふうに、参加した人たちの一人ひとりに、何かしらの化学反応が起きていったと思います。

―もっとこうしたらよかった、というような反省点はありませんでしたか?

 反省点といえるかどうかわかりませんが・・・。こういった、数劇団が参加するショーケースは、ある意味、劇団にとっては、自分たちを試す“試金石”になりますよね。ですから、自分たちの至らなさ、足りなさを再確認してしまう場面も多かったかもしれません。そのためなのか、カラフルに出た参加劇団がさらに盛り上がる、という単純な構図にはなりませんでした。
 かくいう僕も、カラフルが一つの区切りになった感があります。簡単に言うと、プツッっと緊張の糸が切れてしまったというか…。そして、僕らの劇団は、その次の公演を最後に、解散という道を選びました。


―これまでに、東海地方には大きな演劇イベントがなかった分、影響は大きかったのかもしれませんね。

 そうですね。そのときに僕が思ったのは、こういうイベントをする場合、その一回を成功させることももちろん大事だけど、ホントに先の先、何十年か先の未来を想像して目標や志を立てることが大切なんだということでした。劇団も同じかもしれないと思います。

―第2回目を開催するまでに、4年のブランクが空いてしまったのは、そういうところに理由があったのでしょうか。

 はい、イベントは大成功で楽しかったけれど、実行委員として中心的に活動していたメンバーは疲れきってしまっていました。やはり、多くの人間が集まるということは、多くの意志が集まるわけですから、なにかと精神的にも時間的にも多大な労力を要した。
 僕も、本番が終わった日は、アートピアホールの前の公園で、一晩中ブランコに揺られていました。まさに放心状態でした。僕ですらそうなのですから、制作を一手に請け負ってくれていたプロデューサーの聖澤毅氏の憔悴を想像すると、壮絶だっただろうなと思います。実行委員全員が、もうあんな思いはしたくないと、感じたんじゃないかな(笑)


―では、なぜ、今回、開催することになったのですか。

 カラフルから2年後、前回、実行委員委員長をつとめていたうちの1人と、今回のフェスティバルディレクターを務めてくれている試験管ベビーのかこまさつぐさんが、またやろうと声を上げてくれました。前回、今回と続けて参加する実行委員が少なかったので、僕が実行委員長をやることになりました。

―参加劇団は、どのようにして選ばれたのですか?

 前回は、エンタメ系という枠をもうけていたのですが、今回は、“大見本市”をコンセプトにしていたので、前回よりもジャンルを超えて劇団を集めたいということになりました。そこで、東海地方の演劇文化を盛り上げよう!というスローガンに賛同してくださることを条件に声をかけさせていただき、紆余曲折を経て、16劇団が参加することになりました。なんにせよ、情熱のある劇団さん、ということは共通しています。

―若手、老舗劇団という枠、東海地方限定という枠も取り払われたのですね。

 僕自身が、「繋がる」ということも大切にしたかったので、前回のような同世代の横のつながりだけでなく、老舗の劇団から新進気鋭の若手劇団へと、縦のつながりが生まれるように意識しました。
 今回は高校生が審査員となって選ぶ“Highschool Meeting賞”という賞も設けており、選ばれた団体の作品は「高校生の為の演劇教室」(於:アートピアホール)で上演されることになっています。高校生まで世代を超え、何かが繋がることを願ってもいます。
 また、地方の演劇界は、「井の中の蛙」になりがちなので(笑)、そこに、東京や大阪、京都から力のある劇団さんがカンフル剤として参加していただければ、きっと何かしら良い化学反応が起こるのではないかと考え、東海圏外から4劇団、参加していただくことにしました。


―開催場所は、どうやって選ばれたのですか?

 長久手町文化の家の方々が、ぜひやってほしいと言ってくださったんです。劇場の皆さんも協力的になってくださるのは、本当にありがたいことです。その気持ち、情熱、それに引き寄せられました。
 また、長久手町文化の家には、客席数の異なる2つのホールがあるので、その両方を利用しての上演は、“大見本市”というコンセプトにもあっていると思いました。
 「カラフル」は、決まった場所で決まった形態でやるイベントではなく、その時の実行委員のメンバーが魅力を感じた場所や方法で、自由にやれるイベントであったらいいと思っています。ずっと先の未来には、この地域にある全部の劇場がシンクロするようなイベントになったらすごいなあ、なんて考えると胸が躍ります。死ぬほど大変だろうけど(笑)。


―今、準備の真っ最中で、ずいぶんお忙しいと思いますが・・・。

 ジャンルも世代も地域も違えば、いろんな価値観があります。実行委員会のなかでも意見の相違は日常茶飯事です。ですから、物事がなかなか前に進みづらい、まさに「3歩進んで2歩下がる」そんな日々です。
 また、実行委員会は有志の集まりです。入るのも自由なら出るのも自由、志次第で、一枚岩にもなれるけど、烏合の衆にもなりうる。とにかく、参加者一人一人が情熱や責任、そして覚悟を持ち続けていないと瓦解してしまう。その恐怖感と緊張感が、『カラフル2』の準備を始めてからかれこれ2年間、続いています。みんな、がんばっています。


―演劇は、やはり東京が中心です。名古屋だから、地方だから、たいへんなのだとは思われませんか?

 いいえ、そんなことはないと思います。名古屋、ひいては地方が盛り上がってないわけではなく、その地域なりのあり方があるだけなんです。今回、いろんな人とお会いして思ったのですが、キーワードは「人」だと思いました。その中に、情熱的な人もいれば、のんびりおおらかな人もいます。そんな違う空気を持つ人達が出会って、感化しあって、何かしらの化学反応が起きる。ジョンとポールが出会ってビートルズができ、そして世界を変えたように、きっと、いつかどこかで「運命的な出会い」が起こると思います。それまでは、焦らずじっくり、その人なりの努力を続けていればそれで良いのではないでしょうか。地域という枠で考えるよりも、自分、そして、目の前の人についてよく知ることが今後に繋がると思います。カラフル2が、そんな出会いのきっかけになることを願っています。

―最後に、読者の皆さんへ、この演劇フェスティバルの見所をどうぞ。

 蓋を開けてみなければ分かりませんが、とにかく、カラフルな劇団が集まっているので、頑張ってたくさん見れば見るほど、発見があるのは間違いありません!
 そして、今回、最優秀作品賞、最優秀男優賞、最優勝女優賞という完全観客投票制の賞を用意しています。さらに、Highschool meeting賞、ちくさ座賞、G.pit賞という、『カラフル2』の後に行う提携公演企画の副賞がついたスポンサー提供の賞など、さまざまな賞レースを実施します!
 参加者もお客様も、頑張れば頑張っただけ何かが起こる!劇場に集まる人々の内面に怒る化学反応、起こすのは『あなた』だ!(笑)5月3日、4日、長久手町文化の家に渦巻く空気はどんなだろうか、僕自身も楽しみにしています。



 どこまでも熱く語ってくださったヒート猛さん。その地域なりのあり方がある、という言葉には、彼の演劇観、人生観が反映されているようにも思えた。おそらく、そんな演劇博覧会「カラフル2」は、東海地方にとってだけでなく、画期的なイベントとなるに違いない。




演劇博覧会『カラフル2』
【主催】風林火山実行委員会、長久手町、東海テレビ放送【後援】中日新聞社
ホームページ:http://www.frkz.info/index.html

日時:
5月3日(木・祝)[Aブロック]11:00〜[Bブロック]16:15〜
5月4日(金・祝)[Cブロック]10:00〜[Dブロック]15:15〜
(各ブロックで4劇団ずつ見ることができます)
場所:長久手町文化の家
料金:一日・半日フリーパスチケット
●一日券(日付指定)前売3500円、当日4000円
●A〜D各ブロック(半日)券 前売2000円、当日2500円
※チケット予約の方法は、HPにてご確認ください。

参加劇団:
よこしまブロッコリー
劇団Hi-T Growth
avecビーズ
総合劇集団俳優館
試験管ベビー
西田シャトナー演劇研究所
メガトン・ロマンチッカー
劇団翔航群
煉獄猿
てんぷくプロ
Ort-d.d
France pan
少年ボーイズ
劇団オートバイ
劇団・幹生
ニットキャップシアター


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2007/4/26 インタビュアー・文責:栂井理依 編集:鏡田伸幸

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