play unit-fullfullの、
ちょっと変わった公演が間もなくお目見え

昨年は企画公演が多かった【play unit-fullfull】だが、今年は“さよなら”をテーマに、しっかりと腰を据えた本公演が続く。その第二弾、ダブル演出家&ダブルキャストで贈る『サヨナラとさようならをする』が、間もなく初日の幕を開ける。
(8月9日〜16日まで。下北沢OFF・OFFシアターにて)
2006/7/27 インタビュアー・文責:北原 登志喜  撮影・編集:鏡田伸幸

 さよなら=決別の物語を軸に、“男と女の違い”をクローズアップした作品に取り組む今年の【play unit-fullfull】。
 前作『気持ちよくさよならを言おうとする』では、配役を男女総入れ替えしたダブルキャストを試みた。つまり、同じセリフを一方では女優、他方では男優が口にするという仕掛けの中に、男と女の違いを浮き彫りにしたわけだが、今回はなんと演出家を男女入れ替えるという。
現在、稽古場は“潮騒編”チームと“漣編”チームが日替わりで使用。本日はヒロセさんが演出する“潮騒編”の日。

シーンは小さなコミュニティーの日常の一コマ。かなり賑やかで、ちょっと変な人もいて――。

丁寧にシーンの絵と役者の生理をすり合わせるヒロセさん。その緩やかに話す調子が稽古場のテンポを作る。

演出机の隅には小道具表。稽古場の一角には用意された小道具が積まれている。借りっぱなしの稽古場は便利。

 今作『サヨナラとさようならをする』は、主宰のヒロセエリさんが演出を務める“潮騒(しおさい)編”と、ナイロン100℃の俳優にして劇団【シグナルズ】の主宰・大山鎬則さんが演出を受け持つ“漣(さざなみ)編”のダブルキャスト二編を交互に上演するという趣向になっている。

ヒロセ
 男性と女性にはものの見方の違いや、どうしても分かり合えない部分があると思うんですけど、今年はそこを上手く表現してみたいと考えているんです。それで前回、役者の性を入れ替えてみたら、比較検討ができてすごく面白かった。なので今回は、じゃあ、作り手の司令塔である演出家を男女替えてみたらどうなるだろう、というところを試してみたくなって。
 うちは私(女性)が作 / 演出をしていることもあって、やっぱり芝居が女性的。それを男性の演出家が演出したらどんな違いが出るんだろう……そんな違いを楽しんで頂ける企画になればいいなと思っています。

  その、男性演出家として作品を託されたのが、大山鎬則さん。実は大山さんはヒロセさんの高校の先輩に当たるとか。その縁あって東京で【シグナルズ】の公演も観ていたヒロセさん。その繊細な作風に、「この人なら!」と思い、オファーを出したという。

大山
  実は、他人の本を演出するのは初めて。だから話を受けたときは正直、不安はありましたね。ちゃんと本の狙い通りのものをお客さんに届けられるのかって。でも、読んでみたらすごく演出のしがいのある本だった。伝えたいことがはっきりとあって、でもそれを“語って”しまうようなことはしない。大きな山(テーマ)だけでなく、いろんな見せ方のできる小さな山もたくさんある――実際、昨日ちょっと部分通しをしたんですけど、自分でも「楽しい芝居だな」と思えるものになってきました。だから今では「これは良い出逢いだったな」って感謝しているというか、役者ともども、楽しんでやらせてもらっています。


実は主宰のヒロセエリさんと役者の広瀬喜実子さんは双子の姉妹。でも、ダメ出しは厳しく!

主役の勝平ともこさんが稽古後半から登場。しっとりと落ち着いた所作で、稽古場にマイナスイオンを放出(イメージ)。

勝平さんも加わったので、改めてアップをかねたゲームを。写真は「たけのこニョッキ」という、アイス代をかけた熾烈なバトル。

つづく稽古では、シーンの性質にゲームの効果も重なったか、テンションがピリッと上がり――
そして、物語に一つの転機が訪れる。


演出席の後ろには“漣編”の演出・大山さんの顔も。
無言のプレッシャーをかけつつ、敵情視察!?


大山さんも「驚いた」という程の違いが見られる“漣編”と“潮騒編”。
是非、2本セットで両者を観比べて頂きたい。
ちなみに、写真の小松君和さん(神様プロデュース)の肉体改造も“潮騒編”の見所だ!(?)
  なお、今年1年のテーマを「さよなら」にしたわけを、ヒロセさんはこう語った。

ヒロセ
 去年は企画公演が多かったので、制限がある中での作品、しかもイベントですから陽気な作品が続いたんですね。それはそれで面白かったし勉強にもなりましたけど、やっぱりストレスも溜まったんです。だから今年は私の中でずっと焦げ付いている、本当に向き合いたいこと――生きること / 死ぬこと――にちゃんと目を向け直そうと思って、それでこうしたテーマになりました。


 そうして立ち上がる2006年の【play unit-fullfull】第二弾・『サヨナラとさようならをする』。
 前作が近い未来に定められた「さよなら」に向かう人々の物語だったのに対し、今作では「さよなら」をした後の、新しい一歩をどう踏み出し生きていくかが描かれるという。
 「陰と陽で言えば前作が陰で、今作は陽ですね」とヒロセさん。そんな今作に演出家として臨む両氏に、どんな作品に仕上げるのか、抱負を聞いた。


大山
 全体的には愉快に楽しく観てもらえるようにして、その上で伝えなきゃいけないことはきちんと伝えられる、そんな作り方をしていこうと思っています。だから、ちょっと重ためのタイトルにはなっていますけど、お客さんには気軽な気持ちで観に来てもらえれば嬉しいですね。
 それと、女性なら主人公の女性、男性なら主人公の夫に感情移入しながら――自分と照らし合わせながら――観て頂ける作りにしたいと思っているので、そういうところも楽しみにして頂けたらと思います。

ヒロセ
 このお話には、たくさんの人の中に居ても孤独を感じてしまう人や、「なぜこの人と気持ちが通じ合えないんだろう」と思っている人が出てきます。そういう人たちが、一生懸命愛情を求めるが故に、真面目であるが故に、ズレて、間違っていってしまう。望んでなんかいないのにトラブルが起きてしまったり。そんなどうしようも無い中で、それでも何とか生きようと足掻いている人々のお話なんですけど、そうした登場人物の誰か一人には、観て下さるかたもきっと共感できるのではないでしょうか。
 とにかく丁寧に描いていって、その、大きくズレてしまった場所まで、観ている人たちも気付かないうちに連れて行けるような、そんなお芝居にできればいいなと思っています。


大山
 それと、これは大事なことなんですけど、両編ともご覧になって頂ければ色々な違いも見えて2倍楽しめると思うので、是非とも2本併せて観て頂きたいですね。

 ちなみにヒロセさん、大山さんの“漣編”の稽古は何度か見ているとか。そのヒロセさんに、気付いた演出の違いを一点挙げてもらうと――

ヒロセ
 主人公の女性の魅力の出し方で、やっぱり大山さんは男性だなと思いましたね。ちょっとエロいというか――

大山
 そう台本に書いてあるんだよ(笑)!

ヒロセ
 そう、そう。だから決して大山さんがエロいというわけでは…(笑)。でも、やっぱり違うんですよね。

 その主人公を演じるのが、“潮騒編”では勝平ともこさん(劇団M.O.P.)、“漣編”では杉山薫さん(ナイロン100℃)。この魅力的な女優二人の競演も是非、お見逃しなく!



サヨナラとさようならをする
8月9日(水)〜8月16日(水)
下北沢OFF・OFFシアター
『サヨナラとさようならをする』公演情報

作 ヒロセエリ
「潮騒編」演出/ヒロセエリ
「漣編」演出/大山鎬則(ナイロン100℃・シグナルズ)

出演
【潮騒編】
前里瑛一 
広瀬喜実子
遠藤友美賀

犬飼若浩
冨塚智(ONEOR8)
小山待子
芳賀晶(カノン工務店
小松君和(神様プロデュース
石黒圭一郎(コーヒー牛乳

勝平ともこ(劇団M.O.P.)
【漣編】
杉木隆幸 
青山貞子

坪内悟
天野直子
鶴巻尚子
福田英和(7の椅子)
佐々木崇雄
常磐昌平(ブリングアップ
岡本篤(劇団チョコレートケーキ)

杉山薫(ナイロン100℃

稽古場の大きな画像をご覧になりたい方は、こちら

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