国際派実力俳優・菅田俊率いる東京倶楽部が                   
                       野外テント公演に初挑戦!

映画『ラスト・サムライ』『キル・ビル』に出演、
日米合作時代劇『SAKURA』(2007年公開)への主演も決まり、現在、実力派国際俳優として注目を集めている菅田俊氏。
その菅田氏率いる東京倶楽部が、2006年11月、待望のテント公演に挑戦する!


2006/11/4 インタビュアー・文責:浅井貴仁  撮影・編集:鏡田伸幸

 東京倶楽部は、菅田俊を中心に、唐組の前身である下町唐座の旗揚げメンバー(工藤俊作・河端保成・藤原常吉)を中心として2001年に結成されたユニット。映画・テレビで活躍するメンバーを中心に、一貫して「笑って泣いて、最後は心に残る」芝居を発表し続けている。

稽古は吉祥寺シアターのすぐ近くにある。SPACE・Bで行われている。稽古は何度か休憩を挟むが、午前10時から午後10時近くまで行われるという

殺人鬼役の勝矢秀人さん。菅田さんの演出を分かりやすく噛み砕いて他の役者さんに説明していた

「自分も役者だから、役者の生理にあったダメだしをしたい」と語る菅田さんは、役者が自分で理解するまで何度も演出をつけていく

今回が初参加になる難波美紀さんは元歌手の女戦士役という設定

いい役者は本番一週間前からテンションを上げていく。だから、そろそろ稽古場の緊張感を高めたい」菅田さんの厳しいダメだしに緊張がみなぎる

 その東京倶楽部が、今回、初の野外公演を行うという。今までは新宿ACB会館、そして池袋グリーンシアターで公演を行い、その中で大掛かりな演出に定評があった。状況劇場、そして劇団唐組で活躍されていた経緯が影響しているのだろうか? 
 菅田さんに初の野外公演のきっかけを聞いた。


菅田
 新宿ACB会館がつぶれてしまい、前作を池袋シアターグリーンで行ったのですが、やはり劇場のように決められた空間は自分達の芝居にとってはおもしろくないと気づいたんです。
 また、もともと私がいた状況劇場の芝居自体が自由に色々なことができた空間だったんです。だから、唐さんをはじめ、小劇場を立ち上げてきた人たちがやってきたことを、もう一度自分達で挑戦しようという意味もあって、今回テント公演を打つことにしました。

 東京倶楽部といえば、今までも、舞台に滝を作り300リットルもの水を流したり、人が埋まるほどの砂を降らせるなど、大掛かりな仕掛けに定評があった。
 今回の公演でもどのような仕掛けがあるのか期待が高まるところであるが、演出家でもある菅田さんは今回はどのような仕掛けを用意しているのだろう。


菅田
 正面にトンネルを作ろうと思っています。トンネルを使って過去と未来というシーンの変化を表現しています。そして、中が鏡張りになっていて、ジャン・コクトーの「オルフェ」じゃないですが、「こちらがわ」と「あちらがわ」を表現しています。
 今回の作品では、物事の2つの概念の間を行き来するというのがテーマの1つになっています。主人公も、2つの人格を持っていますし、男と女の両方の性を持つ両性具有の人物もでてきます。そういう風に世界は様々な点で2つに分けられていますが、もともとは1つではないかという意味を込めています。


 また、今回の公演は、ヒッチコックの「サイコ」をベースにしているという。一見して多国籍な雰囲気のある稽古場の風景、アクションや人情話もある今回の作品だが、どのように「サイコ」をベースにしているのだろうか?

菅田
 もともとは脚本家の高橋玄さん(今回は、ペンネームの林天外を使用)に、菅原(文太)と私で、「ヒッチコックの「サイコ」に出てくる2重人格の青年をニートで引きこもりの主人公に置き換えたらおもしろいんじゃないでしょうか?」と脚本をお願いしたところ、高橋さんが考え付いたのが近未来のお話です。多少は戸惑っていますが(笑)、近未来といても、日本がベースになっていますから色々な人種がいて、北朝鮮の核問題など、さまざまな問題をひっくるめて表現できればと思っています。


 菅原文太氏の名が出てきたが、実は菅田さんはもともと菅原文太氏の付き人をしていたという。芸名をつける時も、菅原氏の名前から1字拝借したそうだ。
 また、菅原氏の息子さんである故・菅原加織さんとも生前親交が深かったそうだ。


菅田
 生前、映画の話をよくしており「あの作品を舞台にしたら面白いね」など話していたんです。それで、「加織メモリアル公演」として、命日にあたる10月24日前後に公演を打っていまして、7回忌までは舞台をやっていこうと。現在は、菅原(文太)から、毎年1本みんなで舞台をやったらどうかと言われて、東京倶楽部を続けています。
 


今作では、激しいアクションシーンも随所に盛り込まれる。一切妥協のない立ち回りに、思わず息を飲んでしまう

旗揚げメンバーの1人、河端保成さん。舞台上での存在感は一際高い。芝居だけでなく、若い役者さんへの細かいフォローも印象に残った

本番では舞台正面に作られるというトンネル。このシーンでは、モーテルの部屋としても使われている

サスペンスやアクションだけでなく、笑えるシーンもある今作は、誰もが楽しめるエンターテイメント作品といってもいいだろう

サスペンスやアクションだけでなく、笑えるシーンもある今作は、誰もが楽しめるエンターテイメント作品といってもいいだろう

 インタビュー中の菅田さんの表情は稽古中にみせる演出家としての厳しい表情とは違ってとても穏やか。稽古中は自分で実際に役を当てながら、その役の感情の部分を役者に理解させようとしているように見受けられた。菅田さんは俳優として『ラスト・サムライ』や『キル・ビル』などに出演されているが、その時の経験が活かされているのだろうか。
菅田
 たとえば、日本では立ち回りのシーンは切っているマネをするだけなんですが、向こうでは実際に役者が当てていく。本当に当たるように演技していますから、役者の頭に当たったことがありました。それでも何も文句は言いません。そのとき、本気でやっていくというのがすごいなと思いました。
 自分も役者なので、演出をつけるなんてできませんが、そういう姿勢を示せればいいなと思います。あとは、こちらで押し付けるのではなくて、役者に自由に想像して芝居を作る楽しみを味わってもらえたらなと思います。
 ただ、やっぱり、まじめな誠意ある芝居を見せていくことが基本になければいけない。お客さんをバカにしたような芝居をしてはいけないというのは、菅原(文太)からもきつく言われていますから。

 稽古中、ぽつりと「しっかりやってくれよ。菅原に怒られるのは俺なんだから」と菅田さんがつぶやいているのが印象に残った。菅原文太氏なのか、加織氏のことを指していたのかはわからない。
 ただ、亡くなった親友を想い、舞台を作り、そこにそれぞれの志を持った役者が引かれていき、1つの作品を毎年作り続ける……。それ自体がまるで1本の映画みたいじゃないか。
 しかも、今回は巨大なテントの中で、30人もの役者が人生の一部をかけて行う盛大なお祭りみたいな公演だ。ぜひ観に行くことをおすすめする。


出演
工藤俊作
坂上香織
藤原常吉
河端保成
勝矢秀人
二宮直子
吉沢季代
成瀬勝也
吉見麻美
大三郎
佐藤日出夫
木庭博光
山崎栄
針生楊志夫
佐藤良洋
池田大空
梅野渚
寺中寿之
森了蔵
粟島瑞丸
山田浩市
田谷亘司
格清俊光
佐藤邦洋
里見瑤子
難波美紀
加藤トモヒロ
中西台次
小川真澄
櫻梨花
HARUKA
武藤正史
山田恵理
金濱夏世
崔哲浩
一青妙
永倉大輔
町田政則
桑原太市
黒い雨〜死海の義和団
11月20日(月)〜11月26日(日)
池上本門寺 大堂裏特設テント劇場
『黒い雨〜死海の義和団』公演情報

脚本・林天外
演出・菅田俊

<今回出演する役者に、菅田さんについて・テント公演について聞いた。>
勝矢秀人
 菅田さんとは7年くらい連続して毎年仕事をしています。東京倶楽部は僕にとってお客さんの前で芝居をやる1年の集大成。テントでの公演は未知数ですが、年に1度の祭りみたいな場だと思っているので、楽しみたいと思います。
吉沢季代
 アクションから芝居の世界に入っているので、自分の持ち味として、アクションシーンを見せたいと思います。菅田さんは厳しいけれど、優しい方。みんなが付いて来ているという感じですね。
難波美紀
 商業演劇出身なので、セリフを変えていくことが衝撃的でした。それによって感情などの生の部分ができあがっていくんだなと思いました。テント芝居もはじめての経験ですが、人生は一度しかないので、がんばりたいと思います。

稽古場の大きな画像をご覧になりたい方は、こちら

BACK


Questions?Problems?Suggestions?Contact backstage@land-navi.com
BACK STAGE【SideA】 Since 1999/09/01.2000/10/01.Presented by LAND−NAVI
Copyright (C) 2006 LAND-NAVI .All Rights Reserved.