今年のモンキー・ロードは
         コブシきかせて演歌で勝負!

毎回、ユニークなキーワードをもとに舞台を作り上げるモンキー・ロード
そんな彼らが今回選んだキーワードは、なんと「演歌」だ。
このお題を受けて北村想が書き下ろした期待の新作『えんかえれじい』が、11月9日、いよいよ東京での幕をあける。(北九州公演は12月2日・3日)


2006/10/25 インタビュアー・文責:北原 登志喜  撮影・編集:鏡田伸幸

 モンキー・ロードは俳優の井上美穂さんが、名古屋の劇団プロジェクト・ナビ(代表・北村想、2003年解散)を退団後に、東京で立ち上げたプロデュースユニットだ。
 旗揚げ公演では「食卓」、前回公演では「落語」と、公演ごとに一つのキーワードを設定して出発する芝居作りが特徴だが、そのキーワード、今回はタイトルが物語るように、ズバリ「演歌」だという。

都内某所の稽古場はちょっと手狭ながら、使い勝手は良さそう。
鏡の前でポーズを取るのは山口雅義さん。



演歌といえばやっぱり日本酒!
もちろん小道具。決して俳優たちのガソリンではない。



井上さんの歌とともに、水谷ノブさんのギターの腕にも乞う、ご期待!


山口さんに寄り添う女性が物語に持ち込む謎も見所だ。
演ずるは山下千景さん。
 このキーワードを選んだ井上さんに、なにゆえ演歌かと訊くと――
井上
 演歌ってリズムやメロディーよりも、やっぱり詞が重要ですよね。どちらかというと、芝居の方向に近い歌ではないか――昔からそう思っていたんです。だから、それを芝居に取り込めば面白いものが作れるんじゃないかって考えはずっと頭の片隅にあって、今回、それがポロリと出てきました。

 このお題を投げられた北村想さん、「面白いですね」と言ってすぐに戯曲を書き下ろしてくれたという。そうして出来上がってきた台本は井上さんも予想外の、三分の一が歌というもの。歌の全部がコテコテの演歌ではないが、稽古を見ていても主演の井上さん、コブシきかせて歌いまくりである。でも、舞台で思いっきり歌うのは、存外快感なのでは?

井上
 いやいや、とんでもない(笑)! 私、普段は舞台であまり汗をかかないんですけど、今回はもう汗だくですよ(笑)。…でも、歌ってみて、あらためて演歌は(自分の気持ちに)まっすぐに歌ってしまっていいんだってことは感じてますね。快感なんてまだまだですけど。


 その歌部分のクオリティを上げるため、ヴォイストレーニングはもちろんのこと、「咽の粘膜が弱いので、実はお酒も絶ってます」と、井上さんは笑って教えてくれた。
 そんな努力(我慢?)の果てにたち現れるモンキー・ロードの新作『えんかえれじい』――その見所は?

井上
 日替わりゲスト(笑)。ゲストには一曲、歌を歌って頂くんですけど……みなさん、本気だと思いますよー。それと、この『えんかえれじい』は二幕ものなんですけど、二幕目でびっくりする展開があるんです。その、一幕と二幕の違いも是非楽しんでもらいたいですね。
 ちなみに今作は北九州演劇祭参加作品でもある。そちらは12月2日・3日の公演なのでちょっと先になるが、北九州の皆さんも是非ともお楽しみに。
 …ということで、稽古場に貼られた演劇祭のポスター前で主演女優をパチリ!


プロジェクト・ナビでも活躍した段丈てつをさんは、モンキー・ロード作品皆勤賞。
すでに欠かせない存在だ。


熱唱中の井上美穂さん。自身の言葉どおり、まっすぐに歌う姿に好感。


本を一読後、演出のことをすっとばして「この舞台、見たい!」と思ったという大西さん。ダメ出し中も楽しそう。


演奏と演技を同時にこなさなければならない水谷さん。
稽古の合間をみつけては背中を向けて運指の確認。


『キル・ビル』が隠し味だけあって、派手な立ち回りも……?
ここらへんも劇場でのお楽しみ、ということで。


今日の稽古は一幕のみ。つづく二幕での驚きの展開とは――?
「演歌は守備範囲じゃないから」なんて言わずに、是非とも劇場でお確かめ頂きたい。
 なお、今作の演出を受け持つのは前作『らくだ論』に引き続き、大西一郎さん。自身はSFを得意分野とする作家・演出家だが、北村想さんの作品には特別な思い入れがあるという。

大西
 僕、もともとはお芝居ってあんまり好きじゃなかったんですけど、※『寿歌』を観て本当に腰ぬかして。それで演劇の世界に入って、かれこれ20年ですからねぇ…。それくらい、想さんの作り出す、すごく奥行きのある世界観が僕は大好きなんですよ。
その想さんが出してきたものを、こちらがどうやってお返しするか――作家にどう面白がってもらえるかがひとつ、今作でも勝負どころになりますね。戯曲それだけで面白いので……もうね、前向きな読み違いをして、「お前、本当に馬鹿だな」って言われたい(笑)。


※『寿歌(ほぎうた)』:作/北村想。’79年に初演され、’80年代の小劇場演劇シーンに多大な示唆を与えた。

 ちなみに前回の『らくだ論』(作/北村想)でも“前向きな読み違い”の結果、セリフは台本のままながら、芝居の構造を作り変えたという。その読み違いにこそ「モンキー・ロードで想さんの新作をやる意味があるはず」と、大西さんは力を込めて語った。今作でも戯曲には一言も出てこない小道具が大手を振って舞台上に現れたりと、モンキー・ロードならではの楽しみどころが用意されているという。そうした彼らのこだわりも、きっと舞台を盛り上げてくれるにちがいない。

最後に、演出家として今作で目指すものと絡めて、大西さんにも『えんかえれじい』の見所を語ってもらった。

大西
 台本をもらったときに井上さんに「どういうイメージ?」って訊かれて、「キル・ビル」って答えたんです。それでポスターも、雪に日本刀(笑)。だから、今回の遣り口というか、目指すところとしては、タランティーノが間違えてデイヴィッド・リンチの映画を撮っちゃった、みたいな感じなんですね。それがどんな風になるかは、是非、本番を楽しみにして下さい。…あ、もちろん日替わりゲストも見所ですよ(笑)!

えんかえれじい
・東京公演
11月9日(木)〜11月14日(火)
こまばアゴラ劇場

・福岡公演
12月2日(土)〜12月3日(日)
北九州芸術劇場・小劇場
『えんかえれじい』公演情報

脚  本:北村想
演  出:大西一郎
出演
山口雅義
段丈てつを
水谷ノブ
井上美穂
山下千景

幕間ゲスト

【九州公演】幕間ゲスト出演:北村想

【東京公演】幕間ゲスト出演:日替わり
  9日(木)19:30  北村想
 10日(金)19:30  武藤真弓(青年団 演出部)
 11日(土)14:00  芹川藍(劇団青い鳥)
 11日(土)19:00  肝付兼太(劇団21世紀FOX)
 12日(日)14:00  流山児祥(流山児★事務所)
 13日(月)14:00&19:30 寺十吾(tsumazuki no ishi)
 14日(火)19:00  はせひろいち(劇団ジャブジャブ・サーキット)

稽古場の大きな画像をご覧になりたい方は、こちら

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