170人を超える出演者で贈る一大スペクタクル演劇、『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』。
今夏、名古屋でいよいよ開演!

7月8日、舞台『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』の記者会見が名古屋にて行なわれた。
しりあがり寿原作のこの作品は、今年四月に宮藤官九郎の監督・脚本、長瀬智也と中村七之助の主演により映画化されたことでも話題となった。舞台演劇としての今作は、過去に二人芝居として公演されたものを新たに100人という規模で再構築しようという意欲作である。しかも、100人と称しておきながら、実際の出演者数は170人に近くなるというから驚きだ。
地下鉄今池駅よりほど近い会場に訪れると、すでに何人ものマスコミ関係者が待機して開始を待っていた。
間もなく進行役より開始が告げられ、原作者のしりあがり寿氏、脚本・演出の天野天街氏、そして主役の「弥次と喜多」を演じる小熊ヒデジ氏(喜多八役)、寺十吾氏(弥次郎兵衛役)が順番に姿を現した。
まず、今回の公演にあたり、それぞれからの率直な思いが語られる。

しりあがり寿
最初に百人芝居をやると聞いたとき、ウソでしょっ? と思いました。ただ、二人芝居だったものを170人でやるということは、単純にその人数分だけ面白いということなのかも、と……。なので、一観客としてとても楽しみにしています」(しりあがり氏)

実は、まだ台本が全部出来上がっていないんですけど(笑)。でも、全部がまとまってしまう前に本番をやってしまうという面白さもあるのかな、と思っています」(天野氏)

天野天街

小熊ヒデジ
日本の演劇史に残る、前代未聞の作品になると確信しています」(小熊氏)

参加させて頂いたこと自体に、凄く感謝してます」(寺十氏)

寺十吾
会見が始まると、早速今回の一番の話題となるだろう「100人による芝居」についての質問が飛んだ。

二人芝居との違いは、まず何より単純に人数……物量ですね。出演者の公募にあたってオーディションをしたんですが、ほぼ全員、諸手を上げて採用させて頂きました。断る理由がありませんので(笑)」と語った天野氏。予測のつかない舞台だけに、敢えてその意外性を十二分に利用しようとしているようである。「来る者は拒まず」という方針で行なったオーディションからも、その思いが窺える。

過去に行なった二人芝居から、一気に百人芝居へと変化を遂げた同タイトル公演だが、主演の小熊氏も好感触を示している。「皆さん、ハードなダンス練習にも本当に熱心で……一人一人のエネルギーが凄いです

一斉に返事をされるシーンがあるんですが、もう怖いですよね(笑)」と寺十氏。舞台稽古はまだ始まったばかりだが、弥次と喜多は早くもその物量の迫力・パワーを肌で感じているようだ。

  

寄せられる質問に各人が丁寧にコメントし、会見は終始なごやかなムードで進められた。

予算が全くなかったなら、いっそ開き直って全裸でやるという手もあったのかもしれませんが(笑)。限られた予算で、できる限りの可変的な舞台装置を作っています。100人を超える出演者たちというのも、そういった舞台美術の一つと言えるかもしれません」と天野氏は語ったが、170人の登場人物たちは、もちろん単なるエキストラではない。各人にちゃんと役があり、台詞もある。過去に大人数の舞台はあったかもしれないが、ここまでの人数が緻密に設定された試みは、今回が初ではないだろうか……。

東京から参加していますので、色んなことに翻弄されていますね(笑)。劇中でも同じように翻弄されているんですが」……苦笑しながらも楽しそうに話す寺十氏の顔が印象的であった。劇中における弥次の大わらわする姿は、現実での寺十氏の狂奔ともリンクしている?



また、今回は原作者のしりあがり寿氏も、出演者として舞台に上がることになっている。

170人の中の一人なので気楽ですね(笑)。芝居って観るより出る方が楽しいものなんだなぁと思いました。気付いたんですが、自分に演出を付けられるって凄く快感なんです。普段は自分で考えなきゃいけないことを、演出家さんが教えてくれる。日常でも演出家が欲しくなりました(笑)。本当は全公演に出たかったんですけど……」(しりあがり氏)

約一時間の会見の中で、四人は実に楽しそうに各々の思い入れを語っていた。
この出演者数170人近くという異例の舞台公演に対し、彼らは観客と同じ視線で高揚感と期待感を持ち、同じように本番を待ち望んでいるようだった。
作り手にも予測のつかない、スタッフを入れると総勢250人を超える規模で贈られる「ダレモミタコトノナイ一大スペクタクル演劇」……愛知博の盛況も相まって、名古屋の夏はより一層熱くなるに違いない。




インフォメーション

『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』
・8月10日(水)〜8月13日(土)
・愛知県勤労会館
『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』公演情報

舞台は弥次さんと喜多さんが、同じ夢を見るところから始まる。不思議な電車に乗って、二人で酒を飲んでいた。いったいどちらの夢にどちらが入ったのやら……。浮かない二人は、リアルを求めてお伊勢参りに旅立つ。幾百の鳥たちが、彼らの門出を祝う。そして行く先には、不思議な街、不思議な宿、不思議な部屋が浮かんでは消え、夢とうつつ、死と再生のスパイラルが繰り広げられる。時には弥次さんと喜多さんが増殖し、えんえんとつながり、時にはすべてが消えて、まったくの無となり。夢の旅路、夢の荒野に、まか不思議なまぼろしの王国が浮かび上がる。
日本の代表的古典文学《東海道中膝栗毛》に想を得た、しりあがり寿氏の漫画作品『真夜中の弥次さん喜多さん』と『弥次喜多in Deep』は、恋愛関係にある弥次郎兵衛とヤク中の喜多八が、この世の「リアル」を求めて江戸を出発し、お伊勢参りへと旅立つ物語です。奇想天外な出来事が次々と巻き起こる道中には「幻想」と「現実」が交錯、様々な登場人が出現してふたりを〈生〉と〈死〉の狭間へと誘い、その旅路はいつ終わるともなく続いてゆきます。
脚本・演出を手掛ける天野天街は、存在感が希薄となった現代社会の魂の行方を、伊勢をめざし東海道を旅する弥次さん喜多さんになぞらえ、時には辛らつな世相批判を交えながら独自の劇空間を立ち上げます。随所にギャグやアクションを交え、ビジュアル性あふれる舞台装置と映像とのコラボレーションや、予想もつかない舞台装置と小道具の展開は、最後まで観る者を決して飽きさせることはありません。『百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん』では、舞台上だけでなく劇場全体を使って巨大な生命のうねりを出現させます。


左から、しりあがり寿、天野天街、小熊ヒデジ、寺十吾

2005/7/8 文責:毛戸康弘 撮影・編集:鏡田伸幸

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