ミュージカル座・竹本敏彰 インタビュー


 【ミュージカル座】創立の年より10年間、中心メンバーとして劇団を引っ張ってきた竹本敏彰さん。作品ごとに表情を変える【ミュージカル座】を内側から見続けてきた竹本さんが、役者から作家にまわって生み出したのは、『ルドルフの魔法』に続いて、またも笑いに溢れたミュージカルだった。
 爆笑コメディー・ミュージカル――『ロイヤルホストクラブ』
 この作品に込めた竹本さんの想いとは?

竹本敏彰
(たけもと としあき)

埼玉県出身/ 2月2日生/水瓶座/O型
趣味 ・特技 : 料理/オートバイ/残高照会/サンシャイン60階段駆け登り

舞台芸術学院ミュージカル部別科卒業。
24時間演技のことを考えているという根っからの芝居好き。
TV・映画等にも出演多数。

ミュージカル座では「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」スパイク役、「アインシュタイン・フォーリーズ」アインシュタイン役が代表作。
あたたかいパーソナリティーと演技に対する情熱で、ミュージカル座のメンバーの精神的支えでもある。

2004年『ルドルフの魔法』の脚本・演出に初挑戦。
現在ミュージカル座基礎レッスン演技講師/ミュージカル座スクール「日曜体験クラス」講師を担当。
日テレ学院、舞台芸術学院でも生徒の演技を指導している。

重厚から軽妙へ〜
“笑い”について思うこと

―さっそく、今作『ロイヤルホストクラブ』の話から聞かせて下さい。タイトルからして、これまでの【ミュージカル座】作品とは趣きの異なる作品になりそうですが……なぜホストクラブを取り上げようと?

 うちの劇団は女性が多いので、これまで、女性メインのミュージカルが多かったんです。そんな中で、まず、男性陣が主役になる舞台を作ってみたいという思いが、僕の中でありました。また、【ミュージカル座】では去る8月に『ひめゆり』という、戦争を題材にした舞台をやりましたから、次はガラッと雰囲気の変わった、楽しいミュージカルをやりたいという思いもありました。そうした理由から、「男性メインの、楽しくて笑えるミュージカルを」と考えたところから始まって、行き着いたのが“ホストクラブ”だったんです。
 最近、テレビその他でホストを題材にした作品や番組が流行っていますよね。僕はホストクラブに行ったことは無いんですけど、そうした番組等を見て、その世界に興味はあった。同じように興味を持っている人はたくさんいるでしょうから、じゃあどんな世界なのかちょっと覗いてみよう、そう考えてホストを描くことにしました


―ホストの研究はどうやって?


 実際にホストをやった経験のある人からいろんな情報を仕入れました。あとはテレビや雑誌から、あるいはインターネットから。ホストを紹介する大きいサイトがあって、その中にはホストクラブに実際に行った人の体験談とかも載っているんですよ。そういうものから情報を集めて台本を仕上げました

―竹本さんは昨年、『ルドルフの魔法』で初めて【ミュージカル座】本公演の作・演出を担当されました。そちらの作品も“笑い”を大事にしたコメディーでしたが、竹本さんの“笑い”に対するモチベーションはどこから?

 実は僕、もともと居た劇団が“お笑い系の演劇集団”みたいなところだったんですね。そこで笑いのある芝居をやっていたこともあって、自分の中に“笑い”という部分をずっと持っているんですよ。更には、【ミュージカル座】代表のハマナカトオル先生の作品に重厚なものが多いので、「僕は違う色でいこう」と考えたこともあり、自然にコメディーを選んでいたんです。…最近のブロードウェイなんかの作品を見ると、『モンティ・パイソンのスパマロット』が賞を獲っているように、特に9.11以降、アメリカでもミュージカルはコメディーが主流になってきているみたいですけど、僕も“笑い”が好きな人間として、(作家として)その方向に行ければいいなと思っています

―9.11以降、アメリカでは特に“笑い”が求められるようになった…それは実は、日本にも当てはまることなのでは? と思うのですが

 そうだと思います。今、日本でも“お笑い”はブームになっていて、若手お笑い芸人が出るテレビ番組もたくさんありますよね。暗いニュースが多い、悲惨な事件も毎日のように起こる中で、やっぱり“笑い”を求めている人は多いと思うんですよ。そういうお客様に、劇場に来て頂いて、少しでも楽しんでもらいたい。特に『ロイヤルホストクラブ』に関しては、“何かが心に残る”ということよりも、2時間ないしは2時間半、お客様にただ楽しんでもらって、「ああ面白かった」っていって帰って頂ければいいなって、そう思いながら作っています

   

新たな挑戦〜
初めての作・演出を経て

―『ルドルフの魔法』の成功で竹本さん自身、確かな手応えや新たな目標も持たれたことと思います。それが今作に繋がっているとも思いますが

 ええ。…実は去年、『ルドルフの魔法』をやるにあたっては、正直迷いがあったんです。重厚な作品を9年間続けてきて、ここでまったく違う“笑えるミュージカル”というものを出すことは「果たしてどうなんだろう?」って。でも、主宰のハマナカ先生が「いろんなスタイルのミュージカルがあっていい」と後押ししてくれたこともあり、思い切ってチャレンジしました。そうしたらお客様の反応が良くて、「こういう作品も、もっとやって欲しい」という声をたくさん頂いて。劇団の仲間からも「また出たい」「今度は私も出して」と言って貰えて、そうしたことがまた今回、僕を後押ししてくれています。
 ミュージカルの場合、外国の作品を翻訳して日本で上演するケースが多い中で、【ミュージカル座】はオリジナル・ミュージカルをずっと10年間、作り続けてきました。だから、いろいろなものを作れる土台を持っています。その「いろいろ」の中で、“笑い”がある作品は僕が作っていきたい――今はそう思っていますね


―また、『ルドルフの魔法』との大きな違いの一つとして、今作では竹本さん自身が出演もします

 そうですね。前回、『ルドルフの魔法』を演出していて…やっぱりジレンマがあったんです(笑)。コメディー作品というのは脚本家のテンポ感というのがありますから、「ちょっと俺にやらせて!」みたいな部分もやっぱりあったし……何より演出席から見ていて「みんなと一緒に楽しくやりたい!」って思って(笑)。それで今回は僕も参加して、僕のテンポ感でまわして繋げるっていうやり方を試してみようかな、と。…自分で書いて自分で出て、それで演出もしっかりやるというのは、もちろん大変な事だらけ。でも、やらせてもらえる環境があるので、スタッフやキャストの皆さんに支えられながら、とにかくチャレンジ精神で今回はそうしたやり方を選びました。
 …もっとも、コメディーということで言えば、チャプリンだとか、日本ならドリフターズ、或いはお笑いのコンビなんかにしてもそうですけど、みんな自分たちで台本書いて、自分たちで出て、自分たちで演出して、衣装だって自分たちで決めているんですよね。皆さん、“自分プロデュース”でやっている訳です。だから、自分の作品に自分で出るということ自体は決しておかしなことではない……そう考えて、成功されている先輩方を見習い、お手本にしながら、この機会に自分の可能性もまた追求していければって思っています


―見所はたくさんあると思いますが、あえていくつか挙げるとすると?

 一番は、ホストたちの軽快な会話です。それと、ミュージカルの面白さを利用した、ショウ・アップされた部分。それも楽しんで頂きたいですね

―【ミュージカル座】のファンにとって、或いはミュージカル初体験の方にとっても嬉しい驚きが待っているであろう今作、『ロイヤルホストクラブ』。楽しみにしている皆様へ、メッセージをお願いします

 最初から“コメディー”と謳っていますので、皆さんには肩の力を抜いて、難しく考えずに、気楽な娯楽作品として観て頂きたいですね。自由に笑って貰って、で、お気に入りのホストを見つけて頂ければ、と(笑)。そうして楽しんで頂ければ、『ロイヤルホストクラブ2』とか『3』とか、次にも繋がっていくと思いますから

   

10年の原動力〜
劇団のこと、そしてその先へ

―ここからは少し劇団の話を。『ひめゆり』から『ロイヤルホストクラブ』まで…この幅の広さに、劇団としての自由な気風を感じます。内側にいる竹本さんは、この劇団の特徴をどのように感じていますか?

 ブロードウェイ作品では考えられないような短期間で作品を創れる。そんな小回りのきくところが、この劇団の一番の特徴だと思います。
 「こういう作品を創ってみたい」
 「うん、じゃあ創ろう!」
 って感じで(笑)、決定して台本を書き始めてから4ヶ月後にはもう公演ができるっていう小回りの良さ。これはブロードウェイ作品とかでは絶対ありえないですよね


―さて、今年【ミュージカル座】は記念すべき創立10周年を迎えました。竹本さんは創立の年から劇団に参加していますが、振り返って、10年間劇団を続けてこられた一番の原動力は何だったと思いますか?

 中規模のミュージカル劇団はどうしても旅公演が多くて、同じ作品をずっと回して(上演して)いくというスタイルが多いと思うんですけど、うちはもう10年、毎年必ず新作を出し続けてきました。“停滞しない”と言うか、常に新しいことを求めて前に進んできた。それが僕たちの劇団の誇りでもありますし、またそれが原動力にもなっているんだと思います。

―ふしめの年も残すところあとわずか。次の10年へと漕ぎ出すこれからの【ミュージカル座】のビジョンを、竹本さん自身の個人的なイメージで結構ですので、聞かせて下さい

 次の10年があるかどうかは分からないですけど(笑)…でも、稽古場がある限り、ここで新しいものを、新しい感覚で出し続けていきたい……それだけですね。
 付け加えるならば、新作に取り組むことと同時に、自分が創った作品を育てていくことも僕にとっては大事な、そんな10年になると思っています

   

 「この作品で得たいのは、『これをやってもいいんだよ』という確証です」――新作『ロイヤルホストクラブ』についてそう語り、ニッコリ微笑んだ竹本さん。その目の奥に、確信犯の瞳に宿る煌めきが、チラリと瞬いた。
 存分に稽古ができる3つのスタジオ。10年間立ち止まらなかったことへの自負。そして、多様性を受け入れる“実験場”的劇団の気風。いくつもの柱が支える舞台の上で【ミュージカル座】が奔放に描き出す、面白オカシイ男たちの世界。
 サービス精神満点の、笑いに溢れたそのクラブで、皆さんもしばし浮世の憂さを忘れて遊んでみてはいかが?

2005/10/10 文責・インタビュアー:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸

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