BACK STAGE REPORT〜【Zero Project】【ジュリエット稽古REPORT】〜
「ズレ合わせが面白い」― インタビューで演出家・鈴木完一郎さんは本当に楽しそうにそう語った。その「ズレ合わせ」の現場=稽古場にて、鈴木さんの、そして演劇的背景がバラエティーに富んだ俳優陣の、表情を追った。

都内某所。明るく、程よい広さの稽古場に足を踏み入れる。
ちょうど舞台では杉浦太雄さんが、鈴木さんのきついダメだしを受けている真っ最中。
空気には、緊迫感がピンッと張りつめている。
「変な間があいたぞ!」
「リズムを持つんだよ!」
鈴木さんに叱咤されながら、杉浦さんは同じ芝居を何度も何度も必死に続ける。
厳しい言葉の数々に、決して面を伏せない杉浦さんの様子は頼もしい。
続いて山野海さんと杉浦さんの会話のシーン。
鈴木さんは芝居をパーカッションのセッションにたとえ、
「芝居というのはデュエットなんだよ!」
シンフォニーを奏でるように芝居をしろと。
何度も芝居を繰り返しては、ダメが飛ぶ。
「相手の心を読むんだ! 台詞の読み方はいろいろ。でも心の流れは一つなんだ」
会話をしてごらん、と鈴木さんは言った。
でも台詞でそれをしてはいけない。
目と、身体と、呼吸での会話。人対人、なのだから。
鈴木さんの言葉を噛みしめるように繰り返される杉浦さんと山野さんの芝居は、徐々にシンフォニーに変わっていく。
ストーリーは現実と幻、交互に進む。
そして俳優陣は、現と幻、それぞれに異質の演技を要求される。
この変化(へんげ)もまた、見所となるだろう。
このシーンでは出演者全員集合。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の世界。
「シェイクスピアやると、役者の上手い・下手がはっきり出るぞ」
鈴木さん、破顔しつつ、軽くプレッシャーをかける。
「○○座のシェイクスピア劇みたいに、典型的なシェイクスピアやってみせて!」
これで話が通るのがベテラン陣の強み。
大ベテランの湯浅実さんの、貫禄ある演技が稽古場を包んでいく。
そして五十嵐めぐみさん、桜井久直さんが絡み、場面に重厚さを増していく。
ここでも「頑固おやじ」全開の鈴木さんの叱咤は止まない。
出されるダメの厳しさに、人の別はない。
俳優陣はますますヒートアップしていく。
再び杉浦さんが舞台へ上がり、これまた再びしごかれる。
「ここはスタッカート!」
音楽を例にして訴える鈴木さんの言葉を受け、杉浦さんは台詞という歌を歌い出す。
稽古を見ていて、ふと、「鍛造」という言葉を思い出した。
鈴木さんは火であり、槌だ。
火の熱は、ベテランと若手の芝居が噛み合うにつれて稽古場全体を満たしていく。
冬の稽古場を侵す冷気を、知らずに追い出すほどに。
その熱くなったところを叩かれ練られ、鍛えられた先に紡ぎ出される物語―。
今年最後の【Zero Project】公演『ジュリエット』は、期待に違わぬクリスマスの贈り物に、きっとなるだろう。
稽古場の大きな画像をご覧になりたい方は、【ジュリエット稽古REPORT(2)】
2004/12/11 文責:江川三沙 撮影・編集:鏡田伸幸 監修:北原登志喜 

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