BACK STAGE REPORT〜【Zero Project】【鈴木完一郎インタビュー(2)】〜
今回、鈴木さんが演出を引き受けたのは、かつて【青年座】の研究所に籍を置いていた【Zero Project】スタッフ・都 里香さんとの縁が最初にあったという。新しいことに挑む思いが繋いだ縁の輪は、『ジュリエット』という結実へと至る。
インタビュー後半では、注目の劇作家・中島淳彦さんのこと、そして企画製作団体という存在にかける鈴木さんの期待へと、話は移っていく。

は頑固な‘新劇おやじ’です
―今回は【Zero Project】の記念すべき第10回公演ということもあって、新しいことに挑戦する意気込みを強く感じます。そうしたことも演出を引き受ける理由になったのでしょうか?

そうですね。何か新しいことをしようとしている、それは感じましたね。
それとね、僕は、今回の脚本の中島(淳彦)さんに対する興味がものすごくあるんですよ。実は、僕はもうずっと、頑固な‘新劇おやじ’をやってましてね(笑)。これまで若い作家とはやらなかったんですよ。話は何度もあったんだけど、「俺がやるのは俺より先輩の、古い良い本だ」って言って、若い作家のものはうち(青年座)の若い演出家に任せてました。特にここ10年くらいは古い、良い本のリメイクを中心に僕はやっていて……だから、中島さんも言うんですよ、僕のことを「頑固なおやじ」って(笑)。とにかく、そういうスタンスだったから、若い人とは意図的にやらなかったんです。それでも、中島さんに興味はあった。良い本を書くしね。そうして今回の話になったわけです。
…だから、実は僕にとって、今回のこれは結構大きいことなんですよ。頑固おやじが、若い、息子世代と手を組んでね、ひとつ大暴れしてやろうじゃないかっていう気持ちがあるんです(笑)


―では、これが雪解けとなって…?

雪解けっていうかね(笑)。…だから【青年座】の人たちはすごく興味持ってますよ。僕が若い作家とやったらどうなるんだろう?って

―湯浅実さんは【劇団道学先生】で中島敦彦さんとご一緒されてますよね。そうした繋がりがまた面白いですね

そうですね。僕は湯浅さんとは同じ劇団でやってますけど……湯浅さんは、あの人は昔から幅広く、垣根を取っ払って生きている方だからね(笑)
イブだからこそもたらされるもの
―今回、鈴木さんは【Zero Project】の企画に参加されたわけですが、こうした企画製作専門の団体が出てくることを、どのように感じてらっしゃいますか?

芝居っていうのが観客にとってどういう‘商品’であるのか。その部分の考え方って、あると思うんですよ。
‘商品’には、例えばお米のように「絶対に必要なもの」もあれば、お酒のように「無くてもいいけど、あれば嬉しい」っていうものもあるでしょう? じゃあ、芝居っていうのは‘商品’として何を観客に提供しているのだろうか?……その考え方、捕らえ方はこれからもっと色々と出てくるんじゃないかと思うんですね。
例えば、しばらく前から「癒し」なんてことが言われてますよね。その「癒し」として、芝居くらい面白いものはないんですよ。でもそれは観客が観察者になってしまったら駄目で、「癒し」として大事になってくるのは、まさに‘ライブである’ということなんです。例えばロックのライブで観客が総立ちになってこぶしを振り上げてますよね。ああいうのが大事になってくるんですよ。
今まで演劇はどっちかって言うとCD制作するみたいに、自分で聞いて完璧なものを作っていこう、ってやっていた。音響的にはライブよりもCDで聞いた方が良いわけですしね。でも、ライブだからこそ、もたらされるものがある。ロックのライブでは、演奏する側もCD制作する時とは全然違うスタイルでやるわけですよね。そうした時に、その場にいる、バンドのメンバーと同じ格好をしているような女の子達。彼女たちがそこで感じている‘もの’ってのを、音楽以外の知的なエンターテインメントにおいても、まさに臨場感を持って感じてもらえる―それが演劇空間だと思うんです。そこで得られる‘もの’を一つの‘商品’として提供していく。それが【Zero Project】だったりするわけで、そういう意味では面白いし、こういう団体が増えて欲しいとも思いますね。
ただ問題もあって、それは‘商品’を作る人、我々もそうだし製作者もそうなんだけど、間違っちゃう時があることなんですね。お酒売ったりお米売ったり、あるいは本を売ったりするようにやってしまう。本っていうのは、そこに書かれている何かがどう読み手に伝わるかってことが大事なわけじゃないですか。でも、出版社が大きくなると「何部売れたか?」っていうことが重要になってきたりする。読み手の顔が見えなくなってしまう。そうなってしまったら、これは駄目ですね。
お芝居というのは、いくら大きい劇場でも客席は1,500くらいなんですよ。それだけのお客さんに対して、その瞬間、世界中でそこにしかないものを見せるんです。今回であれば芸術劇場小ホールの、そこの時間と空間にしか‘そのもの’はないんですよ。そのことをいかに大事にしてやっていけるか、それが重要ですね
―お忙しいなか、有り難うございました。最後に、今作『ジュリエット』を楽しみにしている皆さんに、一言お願いします

クリスマスですからね。2004年最後の素敵な時間と空間を楽しんでもらいたい。クリスマスの素敵な贈り物になると思っていますから、是非観に来て頂きたいですね
「頑固な新劇おやじ」を自任する鈴木さんは、脚本の中島淳彦さんをはじめ、今回生まれた数々の出会いをことのほか楽しんでいるようだった。臨場感・ライブ感にこだわるこの舞台、そのために用意された光のプランも含め、この熟練頑固の演出家の暴れっぷりに期待が募る。
【Zero Project】が2004年の最後に贈る恋の物語、『ジュリエット』。
人としての「純粋なもの」を描くというこのゾクゾク・ワクワクの物語は、今年のクリスマスに、観る人の心にどんなプレゼントとして響くのだろうか。
(文中、一部敬称略)
2004/12/4 文責・インタビュアー:北原登志喜  撮影・編集:鏡田伸幸

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鈴木完一郎インタビュー(1)

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