【田中要次(ボバ) インタビュー】
 一度見たら忘れられない風貌。太く強い声。――獣性と熟成を兼ね備えた特異なキャラクターで数々の映像作品のスパイス役を務めてきた田中要次(ボバ/以下、BoBA)さんは、実は長きに渡って【tsumazuki no ishi】を見てきたツマズキ・ウォッチャーでもある。そんなBoBAさんに、遂に【tsumazuki no ishi】の舞台に立つに当たっての意気込みを語ってもらった。
田中要次(ボバ)
       / BoBA


長野県出身 俳優
国鉄職員からJR東海社員を経て、映像の世界に転身
照明助手等の映画制作スタッフ兼業で俳優としてのキャリアを積んだ
異色の経歴を持つ

【tsumazuki no ishi】主宰・寺十吾とは矢口史靖監督の短篇映画で出会って以来の、旧知の仲でもある


田中要次 公式サイト:
PBoBAGANDA BOWS
http://www.babibox.com/
有り得ない設定だからこそ
“人間”が大事
―今作『無防備なスキン』では、6年ぶりの舞台出演になりますね

 そうなりますねぇ。特にこれまで舞台の誘いがあったわけでも断っていたわけでも無く、気が付いたら、これほど月日が開いてしまったんですよね。
 【tsumazuki no ishi】は僕は10年ほど前から観させてもらってて、逢うたびに「いつか一緒にやりたいね」って話をしてたんですよ。それが今回、ようやく実現するかたちになったんです


―10年間観続けた【tsumazuki no ishi】。その魅力って?

  初めて観た時に、どこか他の舞台とは違う空気を感じたんですよね。彼らの芝居には不思議な間(ま)があって、その空気感がすごく好きになった。最近は知性的というか、観念的というか、芸術度が高くなってきているように思います。
 近年の【tsumazuki no ishi】は回を重ねるごとに難しいテーマの方に行ってるんで……もうちょっと早いうちに参加しておくんだったな(笑)


―舞台の稽古場に入って感じた事は?

  映像という “だまし絵”の世界でばかりやってきていると、「ああしまった。役やセリフをそこまで掘り下げて考えてなかったな」って反省させられることがありますね。撮影の現場とかって「どうも、はじめまして。」「はい、じゃあテスト!」って始まっちゃう様な世界で、その瞬発力を試されてるのも凄い事なんですけど…。
 舞台の場合は映像のカット割りのようなものには頼らず、基本的に一つの場所で関係や物語を伝えなきゃいけないから、ハンパな演技では後ろの席の人にまでは届かないな、って。
 その上、今回の話のように、現実には一つ屋根の下に被害者家族や加害者家族が一緒に住むなんてことは、まず有り得ませんよね。「え?なんで一緒に住めるの?」って思いますよね。でもこの話は「既に住んでいる」というところから始まる。その有り得ない関係を、観る人が「ああ、そうなのね」と受け止めてくれる芝居にしないといけない。だから登場する人物は、どんなに会話自体が奇天烈だったりボケがあったりしてても、その “人物” 或いは “内面”がちゃんと出来てなければダメなんですね。でないと観ている人がこの寓話に入り込めない。…そういう意味でも、とても難しい戯曲だと思うんですけど、上手く出来たらこれは凄くいい舞台になると思いますね


楽しむコツは
深夜番組を見るように…!?
―久しぶりの舞台で試してみたいことはありますか?

 6年前は斎藤久志監督の演出で舞台をやったんですね。斎藤監督はリアリズムを追及する人で、それはそれで一つの形として良かったんですが、次に舞台に立つ時は逆のことをしてみたいと思ってたんですよ。音楽ライブみたく、“舞台もライブである”ということ、つまりお客さんが目の前にいるということを認識した上での、エンターテインメント的なものをやりたいと思ってました。
 で、今回【tsumazuki no ishi】に参加してみて……、やっぱり、そこ(リアリズム)からは抜け出せなかったな、と(笑)。「あぁ、また前回と同じようなダメ出しを受けているな」と(笑)。でも寺十演出には両方 (リアリズムとデフォルメ)がちゃんと共存してますよね。リアルなデフォルメって言うんでしょうか? 彼がつける一見滑稽な演技も内面の理由がある。その洞察と発想には関心してしまいます。


―今作での役どころは?

  舞台となる多古田家の《警備員》という存在。…一戸建ての家に警備員がいるという(笑)。まぁ、昔の農家っていう設定ですから、家はかなりデカいんでしょうけどね。でも、なんでそこに警備員として居るかは特に説明が無いんで、それも僕が語らずして納得させなきゃいけないですね。
 ただ僕は事件に関わる被害者家族・加害者家族じゃないというところで――つまり当事者じゃないというところで――まだ自由な立場だとは思いますから、そこは思い詰めずに楽しんでやりたいな、と


―それでは最後に、今作の見所を

 これは現実には有り得ない、殺人事件の加害者家族や被害者家族やらを一つの瓶の中に閉じ込めてみました、という感じの話です。……深夜にやっているドキュメントだとか、あるいは『ジェネジャン』を見るつもりで観ていただけたなら、楽しんでいただけるんじゃないでしょうか?

 実は、BoBAさんが一昨年に監督したショート・ムービー※『奪われた刑事/Snatches』には寺十さんが出演している。つまり、今作でのそれとは真逆の立場で仕事をしたわけだが、そのことに触れるとBoBAさん、
あ! あのとき何度もリテイクさせた事への復讐をいま俺、受けてんのかなぁ〜
と、苦りきった笑顔で場を和ませてくれた。
 そんな寺十さんのリベンジ・ダメ出し(?)に耐えたBoBAさんの本番での姿、久々の舞台での姿を、皆さんお楽しみに。


※ 『奪われた刑事/Snatches』:
  東京ネットムービーフェスティバル2004 特別企画作品

2006/7/11 文責・インタビュアー:北原 登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸
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