BACK STAGE REPORT〜東京座プロデュース公演「東京バター -イミテーションジャンクション-」〜
名門【俳優座】出身の木内大介(きないだいすけ)氏率いる【劇団東京座プロデュース】。
過去4回の本公演に加え、豪華客船上でのミステリー劇上演、さらには小学校を回っての公演など、氏のイメージする「"新≠オい"劇=vを実現するため、その手法のみならずフィールドにも捕われない活動が目を引く。
役者のエネルギーで押しまくる、そんな【東京座プロデュース】のハイテンションストレートプレイが、あなたのNK(ナチュラルキラー)細胞も活性化させる?!
今回のBACK STAGE REPORTでは、この東京座主宰/木内大介さん、鶉野樹理さんのインタビューと次回公演作『東京バター -イミテーションジャンクション-』の稽古風景をお届けする。
BACK STAGE REPORT 〜東京座プロデュース公演「東京バター -イミテーションジャンクション-」〜【取材リポート、木内・鶉野インタビュー】〜
→【取材リポート、稽古風景
東京座主宰/木内大介(写真 左)・鶉野樹理(俳優座)(写真 右)


ハッピーでブラボーな「ナチュラルキラーシステム」

――現在はどんな稽古を?

木内 アラ立ちといいまして、台本を持っての立ち稽古ですね。本を持ってやりながら、位置決めなどを行なっている段階です。

――つい先日まで、客船内での公演を行なっていたそうですが。

木内 はい。お客さんもみんな巻き込んで、殺人事件の犯人探しをするという……お陰さまで好評でして、もしかしたら四月頃にまたやるかもしれません。

――今回資料を読ませて頂いた中で、「ナチュラルキラーシステム」という独特の言葉が目に止まったのですが……これは具体的にどういう概念なんでしょうか?

木内 アレはですね、元々女房(鶉野さん)が勝手に作った言葉なんですよ(笑)。前に鶉野が高校演劇コンクールの全国大会の審査員をやったんです。そのときに、高校生相手にワークショップをやってくれということになって。

鶉野 そのときにですね、人間にはナチュラルキラーという体の中の悪いモノを攻撃する細胞があって、笑ったり怒ったり泣いたりという感情を素直に出して活性化させると、このナチュラルキラー細胞が増えて攻撃力が高まる……というのをやったんです。それで、感情による癒しのシステムみたいな感じで「ナチュラルキラーシステム」という言葉を使ったんです。……でも、これは医学的にちゃんと検証されてるんですよ。

木内 例えば、ガンの末期患者に吉本新喜劇を見せておくと、その中の何人かが快方に向かったとか……。

――笑うということは、体にいいですからね。

木内 元々、笑わすことは凄く好きなんです。(お客さんが)勝手に笑ってる状態というのかな? こっちはエネルギーを全て発散して、それをお客さんに感じ取ってもらう……そういう方向性の劇団なものですから、それならこの「ナチュラルキラーシステム」という言葉をずっと使っていこうかな、と。大層なものではないんですが(笑)。

現状への挑戦、青少年への挑戦

――東京座さんには、「低迷する新劇界に新しい流れを」という思いが強くあるご様子なのですが。

木内 そうですね。ずっとそういう思いというのはありまして。とにかく、古い慣習から抜け出そうということですね。
新人公募、レパートリーを選ぶこと、あと年功序列というのもそうですし、演出家を育てるシステムであるとか…そういった全ての既存のスタイルを変えていこうと。そういう機運っていうのは、実際に高まってきていると思いますし……。そういった全てにおいて、これから何か少しずつでも変わっていかないと、ずっとこのままになっちゃうんじゃないかと。そう考えた時に、じゃあ自分で新たなるものを作ろう、となったんです。
新劇云々というジャンルではなくて、本当の新しい「劇」というものを発信していこうじゃないかと。ただし、演技スタイルだけはストレートに……今回の舞台も「笑い」の要素が多いんですけど、演技自体はストレートプレイです。

――同時に、「全国の青少年の心に通ずる、楽しくてよい演劇を」というモットーも掲げておられますが、具体的にどういった活動を?

木内 一般公演とは別に、学校公演という形で全国を回っています。もっともっと多くの若い人たちに芝居に触れてもらって、将来的に芝居の観客を増やしたいという理由から始めました。

――「楽しくてよい演劇」とは、どのような演劇であるとお思いですか?

木内 とにかく、一瞬でも何か脳裏に残るような、大人になっても覚えていてもらえるような、そういう芝居ですね。あまり「感動!」というものを全面に押し出すわけじゃなく、素直に観れて、最後に何か心に残るような……。 今、「宇宙からの訪問者」という芝居で回ってるんですけど、これは宇宙人という異質の存在が近くに来た時に、「そういう人たちとも仲良くなることができるんだよ」というメッセージを込めた作品なんです。小学校なんかを回っても、僕たちははっきりと「仲良くしようよ!」とやるわけじゃないんです。それでも、「みんな仲良くしないといけないんだと思いました」って手紙なんかをたくさん頂くと……何かが心の隅に残ってくれたのかな、と。

――どれくらいの回数をこなされてるのですか?

木内 年に五十くらいですかね。それでも忙しくて減っちゃったんですけど(笑)。

――それだけ強い思いがあると……。

木内 それはもう、そうですね。知り合いの中でも、芝居を一度も観たことがないとか、音楽を聞きに行ったことがないとか、あまりに多いんですよね。一生行かずに終わる人だっていると思いますし……そういう人を一人でも減らしたいですね。だから、小学校の時期にせめて一回だけでも観てもらって、「こんなにいいものだよ」って呼びかけたいんですね。

「真のコラボレーション」に向けてのスタート

――これからの活動は?

木内 今は年に二回ぐらいの公演を考えています。実は東京座としての一般公演というのは、今回でまだ四回目なんです。一回目の公演をやったあと、学校公演がメインだった時期があったりしまして。それで、三年前に久々にやった二回目の公演が、凄く好評を頂きまして。それから一昨年に三回目の公演をしたんですけど。

――去年は一度も?

木内 去年は僕も女房(鶉野さん)も凄く忙しくて……だから本当に今年からですね、本腰を入れて「日本一を目指そう!」とステップを踏み出したのは。今年からが本当の、東京座のスタートラインだと思っています。

――そして新しい演劇を目指すと……。新たな演劇、そのイメージは?

木内 う〜ん……新しい演劇ということは、逆に言えばスタイルはないということなんですよね。ということは、その人その人の自由な発想をもっと入れていっていいんじゃないかと。色んな人の劇の姿があると思うんです。僕の中の劇の姿は……とにかくお客さんに全てをぶつけようということですね。それがウチのスタイルです。押して押して、もう観客が引いてても押せ! 押してきても押せ! という(笑)。

鶉野 色んなことを試したいですね。オペラやクラシックの大作を引用したり、色んな劇団の持っているいい要素を取り入れたり……今の私たちが持っている限りの知識やつながりを活かせていけたらと思ってます。

木内 「演劇と音楽との融合」を目指したいという思いは強くありますね。それは単に演者の後ろで音楽を演奏してるというのではなく、演技者もメイン、演奏者もメインという真のコラボレーションをいつか絶対にやりたいです。お金かかりますけど(笑)。

鶉野 この前の客船内での公演というのは、そういうものに近かったですね。最初にオペラ歌手の方が歌って、バイオリン演奏があって、マジックがあって……そのあとも彼らには役者として出て頂くという。


木内 お話として、そこで殺人事件が起こるんですけど、そのまま容疑者になってもらうと(笑)。

鶉野 私たちよりも真剣にやってくれてた!(笑)

同士と臨むマニュアルからの脱却

――客演が多いようですが、チームワークもバッチリ?

木内 そうですね。もうずっと一緒にやってきてる、よく分かってる間柄ですから。

――鶉野さんも俳優座ですし、木内さんご自身も俳優座ご出身だということで、現在でもつながりが強いようですね。

木内 ええ。今回も俳優座の女優が三人、あと舞台監督も俳優座の人間ですので、五人が参加しています。あと、息子(木内健人くん)が去年、俳優座の舞台で主役をやらせて頂きまして。ずっと仲良くやらせて頂いてますね。

――客演ではどういう人を求めていますか?

鶉野 とにかくワケ分かんない根性があって、何でもやる人で、ゴチャゴチャ言わない人ですね。あと、女性ならやっぱり可愛いことですか(笑)。

――「何でもやる人」ということの中には、制作の仕事も含まれているのですね。

木内 ウチは制作専門という人間はいませんので。まさにみんなで作るという感じですね。

鶉野 悪い意味ではなく、学芸会のようなというか……普通、制作なら制作のマニュアルがあるじゃないですか。

木内 大嫌いなんだよね、マニュアル。

鶉野 変に管轄分けをせずにやろうと。

木内 役者と制作の間で不満が溜まったりしてギクシャクするくらいなら、みんなで動けばいいじゃないかと思うんです。


鶉野 「誰が悪い」、「誰の責任だ」というのをあまり追及したくないんですね。そういうものを変えていきたくて。

――お子さんの健人くんは、今回の公演にも出演されています。どうしても親としての目線で見てしまうということは?

鶉野 特にそういうことはないですね。主人(木内さん)の方は父親がオペラ歌手で演出家でして、母親も日本音楽企画株式会社の社長をしています。私も両親が劇作家と女優だったりしたんで……そういう、親も仕事仲間もない環境に、私たち自身が育ったものですから。

――舞台では子供としては見ない?

鶉野 そうですね。同士であり、仕事仲間ですね。親子だけど同士、夫婦だけど同士。

木内 でも、楽しんでやってるようですよ。

鶉野 まあでも、将来どうなるかは分からないですし……それはこれからの本人の意思と、巡り会っていく人たちによって変わりますから、私たちがとやかく言えないことなんじゃないかな、と。


得体の知れない物凄いエネルギー

――では、改めて今公演「東京バター」についてお聞きします。

木内 (鶉野さんに)絶対面白いよな? ……いやもう、こんなもの開けてみないと分からないか!

鶉野 (苦笑)

木内 「絶対」面白いなんて言ったら、おこがましいかな?

鶉野 じゃあ、面白い「かもよ?」ぐらいで(笑)。

――セットなども極力シンプルな作り込みのようですが。

木内 それは毎回そうですね。シンプルな中で役者の芝居を見て欲しいという思いがありまして。予算の都合ではなく、あえて必要以上に作り込まないようにしています。ただその中で、衣装だけは少し派手にこだわろうかな、と。

――最後に、見所、意気込みなどをインタビューを読む方に向けてどうぞ。

鶉野 そうですね……得体の知れないエネルギー、かな。まだ稽古段階ですけど、必ず何かが生まれるという手応えはありますね。根源的なメッセージをお客さんに必ず感じてもらえるという確信はあります。それをラストにドンッと、鮮烈にプレゼントできる芝居なんじゃないかと思います。

木内 後悔だけはさせないよね。役者たちも物凄いエネルギーを出してるんで、それを感じて楽しんで欲しいです。「これだけのものをやりました!」というものをお見せできればと思います。チラシにも「できるかできねぇかじゃなく、やるかやらねぇかだろ!」ってあるんですけど、そういうエネルギーですね。

鶉野  「無理だ」、「できない」っていうのは、ウチでは禁句なんです。

木内 あの文句は、役者たちに向けての言葉でもあるから(笑)。

――そうだったんですか(笑)。

木内 あと、「しんどい」、「疲れた」も禁句です。言うと罰金百円です(笑)。そんな感じでやっています。

――(笑)。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

(文中、一部敬称略)
2004/1/28 文責・インタビュアー:毛戸康弘  撮影・編集:鏡田伸幸

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