東京でもなく大阪でもない、愛知でも福岡でもない、四国香川の高松である。
高松の観劇文化の裾野を広げ、魅力ある舞台を生み出すために立ち上げられた高松市民演劇祭。「地元に根付いた演劇祭」を標榜するその高松市民演劇祭も、今年で第四回目を迎える。
〜〜・・・この市民演劇祭を地道に続けることで、今までに一度も芝居を見たことのない人に芝居を見る機会を与え、芝居を楽しんでもらいたいと・・・(中略)・・・四国高松は演劇王国だといわれるような、そんな地域にしたい・・・〜〜劇団マグダレーナHP「大西恵(大塚和明氏)のページ」より抜粋
今回のBACK STAGE REPORTでは、当演劇祭に毎年参加している劇団マグダレーナ代表大塚和明さんのインタビューと公演直前の劇団マグダレーナ稽古場から緊張感のある「リベ クラ」の稽古風景をお届けする。
取材リポート、劇団マグダレーナ大塚和明、インタビュー
BACK STAGE REPORT 〜高松市民演劇祭・劇団マグダレーナ【取材リポート、稽古風景】〜


高松市市街地を抜け、車を走らせること20分。
瀬戸内海に程近い、水産加工場などが立ち並ぶ一画に劇団マグダレーナの稽古場はあった。
高松市内の他の数劇団と共同使用している稽古場である。
20時、2棟あるうちの奥の稽古場へお邪魔する。
劇団員の方々が温かく迎えてくれたその稽古場には、公演直前の緊張感が漂っていた。
稽古場に入ってまず驚いたのが、稽古場全体に既に、今作「リベ クラ」のセットが建て込んであった事でる。
後から聞いた話では、20日前から建て込んでの稽古をしているとのこと。実に羨ましい環境である。
セットは約10畳位のワンルームマンションの様であるが、壁に落書きなどがあり荒廃した雰囲気・・・そのセット部屋の窓の外には街並みセットがあり、細かいディテールもしっかり作り込まれている。
舞台上では、大塚さんがスタッフの坂口さんと照明の打ち合わせを行なっており、その傍らでは役者さんたちがセットの調整を行なっていた。
役者さんたちが舞台中央に集まり、役者で舞台監督の中越さんの仕切りで役としてのイメージの練習に入った。
目を閉じて集中・・・ヨガのポーズをして集中・・・各人それぞれの集中で役を自らへ取り込んでいる様である。
ピーンと張り詰めた緊張感が支配する稽古場の中では、カメラの小さなシャッター音だけが聞こえていた。

「本番まで2週間となりました・・・」という大塚さんの言葉で本日の舞台稽古が始まる。本番直前ということもあり、通し稽古を行う様である。

20時15分・・・稽古場の蛍光灯が消され客入れの音楽が流れる・・・
恰も劇場の観客席にいるような感じである。
照明が全灯し、版画教室らしき場面から物語は始まってゆく。
これが「リベ クラ」・・・リベンジ クラブなのだろうか・・・目の前で展開されている「クラブ」の風景は日常・・・正しく日常である。版画版の取り扱い方や実際のインクを使っての実践、会場内に広がるインクの匂い・・・インクの匂い・・・
よく、公共施設で行なわれているような市民講座をそのまま持ってきた様な場面。
そこには特異なキャラクターも存在しない・・・。
しかし、場面はジェットコースターが降下するかの如く一転する。
日常は崩壊し、狂気が一気に会場を埋めた。
一つの命を巡り、対立しあう狂気と狂気・・・直球勝負のストレート。
「生」か「死」か、裁くものと裁かれるもの、極限状態を体現し否が応でも観ている者に人間を意識させる。
ふと気がつくと、特異なキャラクターが存在しなかった舞台上には、野獣にも似た明確な人間性、それぞれの「個」が存在していた。
熱演・・・熱演・・・緊張感に継ぐ緊張感が展開される舞台を見守る大塚さんは、セリフのない役者にも注目し時折メモを取りながら、冷静な眼差しで全てを見渡していた。
讃岐電力、高知・高松・・・「・・・やけんの」等等・・・、
セリフの中には、四国の地名や讃岐弁が散りばめられている。
此処が四国であること、この物語が此処で行なわれていることが、素直に感じられる。
21時35分。通し稽古が終了した・・・
新鮮な作品・・・それが観終わった後の素直な感想である。
決して派手ではないその作品や役者さんは、飾り気が無いが故にストレートであり、力強い。
こじ付けかも知れないが、この土地の名産である「讃岐うどん」のようにシンプルだがこしが強くすっきりしている。
まさに美味であった。

10分間の休憩の後、大塚さんのダメだしが始まった。
公演直前ということもあり、「声をもっと大きく」等の基本的なダメが多かったが、最後に「中途半端な気持ちの上げではいかんよ!」と一括。
それを聞く役者さんたちの真剣な表情はとても印象的であった。
22時15分、本日の稽古が終了した。

稽古場の外まで見送って下さる大塚さん。その気遣いに感謝しつつ、稽古場を後にした。

帰りの車の中、しばし地方での取材について思いを巡る。

魅力ある作品を今日発見した。しかし魅力ある作品は数限りなく点在する。
物理的距離がとてもはがゆく感じられる・・・。
再び会えたらと・・・。

2003/9/2 文責・撮影・編集:鏡田伸幸

取材リポート、劇団マグダレーナ大塚和明、インタビュー
BACK STAGE REPORT 〜高松市民演劇祭・劇団マグダレーナ【取材リポート、稽古風景】〜

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