劇場と劇団との関係は、舞台公演を実現する上で切っても切れない関係である。
今回のBACK STAGE REPORTは、場を「貸す」「借りる」というだけの関係を超え、<劇場の存在意義>を問う試み 
― シアトリカル應典院主催の【SPACE×DRAMA】を紹介する。
劇場と劇団が「対等な関係で協働する」というこの演劇祭、その試行錯誤の先に見える、劇場と劇団の新しい関係とは?
BACK STAGE REPORT 〜SPACE×DRAMA 【取材リポートme-te-lui-lui×××山本セリ、インタビュー】〜
取材リポートシアトリカル應典院、インタビューしかばんび観劇レポート
山本 セリ 氏
(me-te-lui-lui×××の主宰)

2003年6月22日(日)13:00。南海電鉄難波駅で山本セリさんとお会いする。山本さんは、今回のSPACE×DRAMAに参加するme-te-lui-lui×××の主宰だ。
山本さんに案内され、道頓堀をぶらりと散策。
その後、小さな喫茶店に入り、劇団のこと、演劇祭のことなど、お話を伺った。。
前回もせつない思いをしましたが、今回は更にせつなく感じました。
最初は大笑い。途中は泣き。最後はシュール。激しかったです。泣きそうでした。
とてもおもしろかったです。人生はちっぽけなものだけど、そのちっぽけな夢とかを、とても大事に考えられてるなと思いました。

me-te-lui-lui×××公演アンケートより抜粋

人に恵まれた

―劇団について教えて下さい。なんでも、旗揚げ時の役者さんは益井さん以外、全員演劇未経験者だったとか

そうですね。まじめですよ〜っ! もう『初めてだ』っていうのがあるから、基礎訓練にしても、皆さんすごく『やらなきゃならないことなんだー』って(笑)、まじめに取り組んで下さって。肉体訓練にしろ振り付けにしろ、もう、『そんなにやるのっ!?』ってくらい。時間的に言ってもすごいですよ。稽古は週に2・3回やってるんですけど、その稽古の後にまたやるんですよ! 夜にっ!! 
満足いくまでどうしても練習がしたくって・・・それこそAm3時くらいまでとか平気でやっちゃうんですね。
・・・芝居というのは、感情があって心があってナンボだと思うのですけど、でも、折角気持ちがあるのに表現できなかったらもったいないなと思って、だから私も始めから厳しくやっていました。基礎とか、もう本当に厳しかった。その厳しい稽古に、最後までついてきてくれました。みんな、芝居なんてしたことが無いのに・・・すごく助けられましたね

なでなでしてあげたい

―癒し系劇団、とコピーにありましたが

今までほんとに自分の中にあるものを出して創っていたんで・・・やっぱりつらいことっていうのも生きてたらありますよね。いろんな悩みとか葛藤とかがあって・・・でもその中で人っていうのは救われたい。私自身も救われたくって作品を書いている部分があります。
正直言ってうちの芝居はハッピーエンドじゃなく、どちらかと言うと現状的に絶望に近いんですけど・・・でも、その中にだってやっぱり救いってあるんだよ、って思いながらそれを書いているんです。それが癒しになったらなと思ってます


―そして、誰かの子守唄になりたい、と

なりたいです(笑)。子守唄って言ったらアレなんですけども・・・。
基本的に、演劇で世界は変わらない、って思うんですよ。ただなんか・・・凄い死にたい気分があって、でもうちのお芝居を観てちょっとでも、今日はあったかいものでも飲んで帰ろうかなって、そんな気持ちになって欲しいなって。
なでなでしてあげたい。・・・まあ、結局自分がそれをしてもらいたいんだと思うんですよ。だからきっと今までそういうものが好きだった・・・たまに路地とかで歌っている人がいて、ちょっと落ち込んだときにそれ聞いて元気になることがあって・・・そんなことが私にも出来たらなって


―お客さんにme-te-lui-lui×××の「ここを見て貰いたい」というのは?

生きてる人を観て貰えたらと思います。なんかがむしゃらに頑張ったり、馬鹿みたいに笑ったり泣いたり・・・いろんな人間が世の中に生きていて、それを見ることによって元気づけられたり何かに繋がったり、って。観た後にちょっと温かくなって貰えたらな、って思います。

―今回の公演に向けての抱負をお聞かせ下さい

・・・今までずっと個人で書いてきたので、パワーが凄いあったんですよ。魂の・・・生命力って言うんですかね。私自身がすごい激しい人なんで・・・やりたいことをやるために生きるんだ!うわああぁっっ!! って、そういう芝居が多かったんですけど、今回ちょっと周りの人達を見てみたら、意外とみんなぼんやり生きているなって思いました。(そんな人達を見て)その人達はその人達なりの、「どう生きる? どう生きたい?分からない・・・でもどっかにあるかもしれない一つのもの、それを探している」感じ・・・っていうのを書いているんですよ。
だから・・・世の中の事柄にさめてしまった人達に観て貰えたらな、って思いますね。そしたら驚けるんじゃないかな・・・そのちっちゃなスペースでおこるいろんな世界だとか、生き方だとか、想いだとかで、それでその人が変わってくれたらなーなんて大それたことは思わないんですけども、もっと色々あるよー、可能性あるんだよー、世界にも可能性あるし、貴方にも可能性あるよーって


 笑顔で話してくれる山本さん。そんな彼女からは、包み込むような優しさが感じられた。そう、誰もがどこかで見たことのあるだろう・・・雨の中、ずぶ濡れになった子猫を抱く「あの人」の雰囲気である。


手をつないだ演劇

―演劇祭について伺います。まず、劇場ですが・・・應典院さんと他の劇場との違いをどんな風に感じてらっしゃいます?

結構違いますね。應典院は劇場と劇団がちゃんと手を結んで、良い作品を作ってお客さんに渡していける、っていうことを初めて聞かせてくれた劇場です。それまでは劇場は貸す側で、私たちは借りる側だった。でも今回は、良い関係を作る、良いものを作る、その為に劇場さんはお金の部分ですとか、制作を手伝ってくれたりですとか・・・今まで自分だけで凝り固まっていたものが、凄く広がった気がします

―演劇祭に参加してみての感想は?

制作会議で他の劇団さんに会ったら、皆さん凄くバラバラと言うか、それぞれのカラーがあって、それぞれの考え方があって、『あっ、面白いな』って。今までは、自分だけで終わってたし、だからいっぱいいっぱいになってたのが、新しく周りを見る機会にりました

―制作会議の様子はどんな感じですか?

今回は手探り状態、っていうのはあるんですけど・・・制作面って、一番手を抜いてしまうじゃないですか。お芝居をすることには真剣になるんですけど、そういうところまでいけないというのが現状なんですよ。その部分を、相談し合い、協力し合うことでまとめられないか。単純なところでは『受付の人がいない』とか『バラシの手が足りない』とか・・・そういうトコロから協力できないか、と。
一つの劇団じゃ出来ない事、やらないで済ませてしまう事を、みんなで話し合い、助け合う。それによって、もっと大阪の演劇祭の制作力を育てて行けたら、というのが一番あるみたいです


―そうした新たな関係性の中で見えてきたことは?

今回は一回目ということもあり、劇場と劇団が繋がる第一歩になるのではないか、今回はうまくいかない部分もあるかもしれないんですけど、ここからの『手をつないだ演劇』っていうように変わっていくんじゃないかな、と思っています

 今回のSPACE×DRAMAは、演劇界にとって大きなNEWSとなることは無いのかもしれない。しかし、この「手をつないだ演劇」が「演劇」を明るいところへ移行する一つの切っ掛けになるのではないかと感じる。
 ・・・曇りの空を見上げる山本さんの目は雲の上にあるそれへと真っ直ぐだった。 

主宰 山本 セリ
17歳で劇団鞘に入団。その劇団の第七回公演で脚本・演出を担当。「自分で書いて自分で作った物語をやりたい」と思い、ユニット公演「青雲〜ボクタチハ ドコヘムカッテイタノダロウ・・・〜」で共演者だった益井さんとme-te-lui-lui×××を設立。

(文中、一部敬称略)
2003/6/22 文責・インタビュアー・撮影・編集:鏡田伸幸

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