BACK STAGE REPORT〜下北沢シュワッチ!演劇公演「マスター・ミザリー」〜
下北沢・・・下北。
演劇の街と言われて久しい。でも最近、「若者の街」というブランドに取って代わられてないか?
ん?この企画は・・・?下北の街にあるもの全てを巻き込んだイベントか・・・演劇メインではないか・・・。
でも、なんとなくシックリくる、下北と演劇。全然違和感が無い。こんな街、他には無いんじゃないか?
今回のBACK STAGE REPORTでは、複合イベント「下北沢シュワッチ!」演劇公演「マスター・ミザリー」で初演出を行なう大越真木さん、
オーディションで選ばれた役者の皆さん(1名不在)への質問と稽古風景、事務局から石井梨沙さんのインタビューをお届けする。
BACK STAGE REPORT〜下北沢シュワッチ!演劇公演「マスター・ミザリー」【取材リポート、演出家 大越真木、インタビュー】〜
【役者プロフィール】  → 【稽古リポート】   →【事務局長 石井梨沙、インタビュー】
大越 真木
9歳から児童劇団に所属し舞台経験を積む。
高校卒業後渡米。ノースキャロライナ州立大学にて演劇専攻、声楽副専攻し
数々の舞台に出演する。大学卒業と同時に帰国し、劇団四季に所属。
『ジーザスクライストスーパースター』『オンディーヌ』等に出演。
役者以外にも、翻訳や通訳として世界各国を渡り歩いている。

人間的な魅力を発している人と共に・・・

−公演まであと2週間余りとなりましたが、現在の稽古の段階は?

これまでは「今ある物で、どんなことが出来るか」を試していたんですが、前回の稽古あたりから固めだして・・・ただ、まだ配役は決定、というか発表はしていないんです。正式には台本が完全に出来上がってから(注)決めようと思ってたんで・・・でも、もう待ってられないところまできてますからねぇ。

−では、配役はほぼ固まっている?

そうですね。それに、メンバーも臨機応変に対応できる役者さんが揃っているので、そういうところも助かってます

−それぞれにキャリアのある方たちですよね

はい。役者として色々な芝居に関わってきた人、オペラの舞台に立っている人、インプロ(インプロヴィゼーション:即興)を中心に続けてきた人、いろんな人がいて面白いですね

−全員、オーディションで決めたそうですね。選考の決め手は?

もちろん技術というのはありますけど・・・やっぱり、その人の魅力が一番ですね。芝居は上手なんだけど魅力を感じない役者さんっていますよね、残念だけど。そうではなくて、人間的な魅力を発している人、というのが私にとっては重要なポイントでした

力強いものにしたい

−今回の舞台が大越さんにとっての演出家デビュー作になるそうですが

はい。舞台を丸々一本、通して演出するというのは確かに初めてですね

−どんな舞台にしたいと考えていますか? イメージで結構ですが

このお話はトルーマン・カポーティの小説を題材にして、そこからアイデアを貰っているんですけど・・・カポーティの小説って、すっごく暗いんですね(笑)。人間の孤独、その孤独に対する諦め。人間なんてそんなものだ、という世界です。小説としては面白いですけど、そんなカポーティの考え方には納得がいかなかった。だからこそ、違う形でやってみたいって思ってこの作品を取り上げた、というのもあるんです。人間って、もうちょっと強い生き物なんじゃないか、って・・・。だから、元の作品世界の不思議な空気は残しつつ、もっと明るい、力強いものにしたいと思っています

−では、脚本は岡本貴也さんですが、カポーティで行こうという話は大越さんから?

ええ、そうですね。ただ、アイディアを提示しただけで、あとは岡本さんに自由に書いて頂いてますから、そこからまた違う形で発展して・・・。だから、原作からは本当にアイデアだけ借りていると言った方がいいかもしれません。その中で、「もう駄目だ」と思っても頑張れてしまう人間の強さ、生命力、そういうものを感じられる作品にしたいですね。それと、「舞台の面白さ」を出したい

−「舞台の面白さ」とは?

私、すごく作り込む舞台って好きじゃないんです。設定もリアルで、舞台装置も完全に細かく作り込んで、っていうものだったら、それは映像の方がより面白く作れるんじゃないかって思いますから。だから、私が舞台でやりたいのは、舞台じゃないと成立しない、舞台だからこそ可能な表現です。それによって、観客の想像力に委ねる部分を残したい・・・例えば自分の読んだ小説が映画化されたものを観ると、どうしても納得できない部分が出ますよね。それは読者一人一人が自分の中で想像した、その人にとって最も相応しい作品世界を持っているからです。その想像を、人間の想像力を、どれほどお金をかけようと、どんな立派なキャスティングをしようと、超える事はできない。そんな人間の想像力を刺激する、そういう部分を舞台では大事にしたいですね。
今回の芝居ではシーンに登場しない役者も常に舞台上にいるんですけど、その人間は一体何なのか、というのもお客さんの自由な想像に委ねたいと思っています

下北・・・混ざり具合が面白い

−お話の舞台となる下北沢の街についてはどんなイメージを持っていますか?

「シモキタ」と言えばお洒落な街、というのがあって、そういうスタイルに惹かれて集まってくる人達がいますよね。あるいはただ単に演劇をやっているから、という理由だけでここに住んでいる人達もいる。もちろんそういう事とは関係なく、昔から住んでらっしゃる方たちもいる。古着が好きなお洒落っぽい若い子たちの横を、自転車のかごから葱をのぞかせながら、お婆ちゃんがゆっくりと通り過ぎる。そんな、良い意味でグチャグチャに混ざった、その混ざり具合が面白い街だなって思ってます。
 ・・・下北沢駅の北口を出たところに市場がありますよね。今回のお芝居にも出てくる場所なんですが、私、あそこが下北沢で一番好きなんですよ。あそこなら、人から夢を買う男がいても不思議じゃない(笑)。そういう雰囲気があって楽しいですね


−最後に、どんな風にこの作品を楽しんで欲しいですか?

そうですね・・・何も考えずに、その空間と時間の中で、構えず、感じるものを感じるままに感じて欲しいですね。でもそれって、一番難しいことかもしれませんね。私も中々そういうお芝居の見方が出来ませんから(笑)。とにかく、ただリラックスして楽しんでもらえれば嬉しいです

−ありがとうございました

(注)台本はこの2日後に完成予定とのことだった

(文中、一部敬称略)

2003/9/30 文責・インタビュアー:北原登志喜  撮影・編集:鏡田伸幸

BACK STAGE REPORT〜下北沢シュワッチ!演劇公演「マスター・ミザリー」【取材リポート、演出家 大越真木、インタビュー】〜
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