ラフレシア円形劇場祭。
演劇者自らが企画・運営する野外演劇祭である。参加9劇団が共同で劇場を作り(!)、解体し、相互に批評するという。期間にして約3ヶ月。
日本の野外演劇のメッカともいえる大阪においてさえ、前例のない試みである。
最近、相次ぐ劇場閉鎖など暗い話題が多かった大阪小演劇界に、この異様の華・ラフレシアは果たしてどんな芳香を撒き散らすのだろう。
演劇祭開幕を1ヶ月後に控えた3月中旬の一日、参加9団体中6団体の主宰にお話をうかがった。
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長山 現 氏 (楽市楽座主宰)
大竹野 正典 氏 (くじら企画主宰)

劇団ARK】の斎藤さんの車で、【楽市楽座】と【ことのは】の本日の稽古場、庄内の某公民館に連れて行ってもらう。さっそく館内に足を踏み入れると、入ってすぐの応接セットに【くじら企画】の主宰・大竹野正典さんが座っていた。ご挨拶をしながら手元を見ると、そこには書きかけの台本が。どうやら今演劇祭に向けてのものに手を入れていたらしい。その大竹野さんにもご一緒してもらって、まずは【楽市楽座】の稽古場へとお邪魔した。

それは難しいだろうと思った

畳敷きの室内では、ギターを抱いた【楽市楽座】主宰・長山現さんを中心に、女優さん達が歌合せをしていた。「今回はホラーコメディー」と聞いていたが、なるほど、歌の内容もかなり不穏なものだった。その歌の流れる中を、将来の大女優(?)が走り回っている。歌詞はともかく、意外にアットホームな雰囲気。
ややあって、作業に一区切りついた長山さんがギターを置いて、「何かお聞きになりたいことがあれば」と、柔和な顔をこちらに向けた。それでは、と大竹野さんも交えて、お話をうかがう。
― なんでも、今回の企画は大竹野さんから長山さんに持ちかけたとか

大竹野ええ。去年、【楽市楽座】の公演の打ち上げの時に、戒田君(【満月動物園】主宰・戒田竜治氏)もいて、その時になんとなくそんな話を……

― それを聞いて、長山さんはどう思いましたか?

長山 「最初は3団体だったんで、それも面白いと思ったんだけど、それがやがて10以上の団体が参加する、っていう話になった。最終的に9団体が参加することになりましたけど、いすれにしてもそれだけ参加すれば、テント設営期間も相当長期になるわけです。……さすがにそれは難しいだろうと思いましたね

参加9団体の中で唯一、野外での公演を専門としてきた【楽市楽座】。野外公演の大変さをよく知っているだけに、企画実現の困難さにまず頭が行った。

秘密基地を作って遊んでる子供みたいですね

長山さんの懸念の通り、企画は当初、幾多の困難にぶつかることとなる。テント設営場所の確保、安全面の諸問題、インフラetc.etc. 会場候補地は二転三転し、大竹野さんは消防署にも出向いた。

長山 「けれども、そういう苦労こそが、芝居の原初の楽しさじゃないかとも思うんです

やがて、問題をクリアーしていく毎に、全体がヒートアップしていった。

長山 「子供の頃、秘密基地作って遊びませんでしたか? まるで、あんなふうですよ
大竹野ははは……そういうトコはあるね」 
長山 「ただ、企画が具体化していく中で、イベントに対する意味を問われるようにはなりました

― その『意味』を、お二人はどのように捉えていますか?

大竹野僕は……実験、ですね。意味、というよりも実験の場。例えば今回の僕らの芝居はセットも、見せ方も、本当に実験的なものになるんですね

― 平成の事件シリーズ第一弾、ですね

大竹野ええ。保険金殺人の話なんですけど、舞台の上に部屋を1つ、完全に設えて、その部屋の中で起こる事をお客さんに見て貰う、という形を予定しています。そんなふうに、実験が出来るのが面白い
長山 「私はこのイベントに、切磋琢磨の場、という意味を求めたいですね
大竹野えっ、そうなの?
長山 「そうだよ(笑)! 切磋琢磨。これが一番だと思います。こうして劇団が明確な関わりを持つことで、互いに互いを高められる。それが、より魅力的な舞台を創り上げることにも繋がるでしょうし、(大阪の演劇の)活性化にも繋がると思います
― 大阪では最近、劇場閉鎖などの暗い話題も聞きますしね

長山 「ええ。だからこそまず、面白い舞台を創る為に、切磋琢磨が必要だと思うんです
大竹野……なるほど(笑)

― 【楽市楽座】さんの今回の作品は、「美学」に突出したものになるそうですが

長山 「ええ。芝居の基本は『笑い・人情・美学』だと思いますけど、その中でも今回は美学・カッコ良さを強く意識しています。その為に、『濡れ場』と『殺し』をテーマにしつつ、単にエロスとバイオレンスだけではないカッコ良さを表現しようと思っています

― 【楽市楽座】さんは「現代歌舞伎を目指す」とおっしゃっています。大阪は道頓堀を中心に歌舞伎を育んできた街ですが、そういう風土が根っこにあるのでしょうか?

長山 「それはルーツとしてあるのかもしれませんが、特に意識したことはありません。ただ、自分たちの目指す『強いもの』『濃いもの』『破天荒なもの』を一番イメージし易い言葉として『歌舞伎』という言葉を使っています

だからこそ、今年を成功させたい

― ところで、円形劇場祭ですが、来年以降もやるというお話を聞いたんですが

長山 「出来たらいいですねぇ。ただ、ではオープン参加のイベントにするかといえば、私はそれには反対です。やるとしたら、また今回参加する団体中心でやりたいですね。さっきも言ったように、私はこの演劇祭をただのイベントではなく、我々が互いに互いを高める場だと思っていますから、メンバーがあんまり変わってしまっては意味が無いですからね
大竹野うん。ま、とにかく、来年以降に繋げるためにも、今年成功させないと、ですね

― 最後に、この演劇祭をどんなお祭りにしたいですか?

長山 「大真面目な祭りにしたいですね
大竹野僕は……やっぱり『実験』ですね

― 大竹野さん、テント燃やすって息巻いてらっしゃるとか(笑) それも実験ですか?

大竹野いやぁ、さすがにそれは(笑)。……なんといっても僕らがトップバッターなんでいきなり燃やしちゃうと後の人たちが困るでしょうから、やめました(笑)


お話の間中、長山さんと大竹野さんの間には、同じ深淵を覗いた者同士、とでもいうような信頼感が流れているのが見て取れた。互いに向ける眼差しは、時に限りなく優しく、時に限りなく真剣になる。まさしく戦友でありライバル。お二人が同じ舞台を使ってどんなバトルを展開するのか。今演劇祭、興味は尽きない。

楽市楽座 佐野キリコさん

楽市楽座 小室千恵さん
2003/3/12 文責・インタビュアー:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸
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