名古屋学生演劇界の発展に寄与することを目的に結成された「名古屋学生劇団協会(NGK)」。そのプロデュース公演も今回で2度目を迎える。
今回のテーマはズバリ「地域性」だという。そこに秘められた意図とは?
名古屋・関西でオーディション行い集められた役者を指揮するのは、作・演出 デス電所代表の竹内佑氏。
その竹内祐氏へのインタビューをはじめ、市川幸代氏・小山裕紀恵氏(両名役者)へのインタビュー、そしてNGKプロデュースvol.2学生劇団合同公演「彼女の愛した百鬼夜行」の稽古風景をお届けする。
BACK STAGE REPORT 〜report no.12 名古屋【NGK】【古 REPORT】〜
ス電所代表 竹内佑インタビュー 者 インタビュー


(‘04.2.28、於・演劇練習館アクテノン)
 本日の稽古場は2階の大練習室。既に稽古は始まっているので、そっと入室する。

室内は円筒型のアクテノンの特性から、カットされたバームクーヘンの様な形になっている。そのバームクーヘンの切り口に当たる部分、背後が鏡張りになった一端に作 / 演出の竹内佑さんが陣取り、懸命に動き回る役者さん達を見つめていた。どうやらこの湾曲した長方形のスペースを、縦に使っているようだ。
長机に着いた竹内さん。その前の床には、ズラッと並んで座る10数名の役者さん達。稽古が始まってから既に3時間ほど経つが、疲れた様子もなく、かといってひどく気を張り詰めているというのでもなく、全員がいたってリラックスしている。
竹内さんのダメ出し……というか絶妙のツッコミが入るたびに、稽古場には笑いが弾けた。そのさまは、竹内さんの「お笑いライヴ」に集まった若い観客たち、という風に見えなくもない。
舞台上の市川幸代さんに向かって、
「ちょっとそこでヘビになってみよか」
「いや、やっぱり何だか分からない動物になってみて」
とんでもなく唐突な竹内さんの要求が、連続で飛び出す。これに応えて「ヘビ」やら「何だか分からない動物」やらを真面目に演じてみせる市川さん。その不気味な動きに、また笑いが巻き起こる。インタビューで「場の雰囲気作りに一番気を使います」と言っていたが、ここらへん、竹内さんなりの気遣いも多分にあるのだろう。
「あっははは、なんやあれ、気っ持ち悪ぅ〜」
 ……一番笑っていたのは竹内さんだったが。
 このシーンが一区切りついたところで、我々の入室に気付いた竹内さん、
「何か欲しい画とかあります? ない? じゃ、楽しいシーンいきましょか?」
 ここまでも十分楽しい場面だったのだが、この発案で場面はさらに賑やかなパートへ。
一人の男優(ネタバレ防止のため、敢えて名前は伏せる)がBLUE HEARTSの名曲『リンダ・リンダ』を熱唱するという、なんとも言えず痛いシーン。が、恥ずかしさが先に立つのか、熱唱中、身体は動いていても顔がどうしても下を向いてしまう。このあたり、場慣れをしていない学生さんらしい。そんな彼に立て続けにハッパをかける竹内さん。
「もっと周りの人の顔見て!」
「お客さん煽らなきゃ!」
「袖にいる役者も煽っていいから(笑)!」
 その言葉に意を鼓して上げた顔に、徐々に差していく、ほんのりとした恍惚の色……。そんな彼の一生懸命な姿に、見守る役者さん達からアタタカイ声援が飛んだ。
「うわっ、鬱陶しい!!(笑)」
 稽古は進み、今回、学生外からの特別参加となった相良真さんが登場する場面へ。相良さんは現在、地元名古屋を中心に活動を続ける【劇団翔航群】に在籍している。舞台からTVドラマまで、幅広い活躍の場を持つ経験豊かな役者さんである。
……相良さんの演技はさすがに大人というか、安定感がやっぱり違う。ピンと一本、稽古場に芯が入った印象。自然と細かくなる、竹内さんの要求。その要求を咀嚼するような間の後、微妙に変わっていく相良さんの芝居。学生たちが、食い入るようにその様子を見つめる。
 ここまで、竹内さんが学生に対して出すダメの多くは、疑問形で終わっていた。
「じゃあさ、ちょっと、ぺって唾を吐いてみる?」
「もっと自信ないように言った方が良くねぇ?」
 一方、相良さんに対する要求、その語尾のほとんどは、
「〜〜して下さい」
 ……邪推かも知れないが、もしかしたら疑問形のダメ出しには、学生たちに「もっと自分の頭で考えて欲しい」という竹内さんのメッセージが込められているのかもしれない。
 再び、学生のみのシーン。ギャグを交えて賑やかに展開する場面。木内貴大さんの独特のテンポが、稽古場に大きな笑いを巻き起こした。
「木内、面白れぇ〜(笑)。木内に全部持っていかれた!」
 竹内さんも嬉しそうな声をあげる。これまで、いくつかのシーンで役者の欠席があったため、さすがに欲求不満気味だった竹内さん。ノリノリで「木内イジリ」に突入
それにしても、名古屋弁、大阪弁、東京弁と、3つの方言が飛び交う稽古の様子は、ゴチャゴチャっとしたごった煮感がひとしおで、見ていて楽しい。その方言だが、どうやら役柄の性質(属性)をある程度表しているようにも感じられる。そこにある意図とは? それは本公演でご確認頂きたい。
 突然、天井からリズミカルな「ゴツゴツゴツっ!」という、石でも降ってきたかのような音が響き出した。どうやら上の階でフラメンコの練習が始まったようだ。時計を見れば、既に17時を少し回っている。いつの間にか、2時間近くが経っていた。
ここが頃合だろう。今後の稽古の様子に思いを残しつつ、そっと稽古場をあとにする。背後には、学生さん達に忍耐強く「演技の仕方を教え」る、竹内さんの声があった。

「セリフが走ってるんで、もうちょっと自分の気持ちで話すように心がけてみようか」
2004/2/28 文責:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸

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