BACK STAGE REPORT〜劇団め組 公演『歌舞伎草紙 ひとり忠臣蔵 』〜
「演劇で食べていきたい」・・・そう考える劇団が数多ある中、実際演劇で「食べて」いる劇団。
それが今回ご紹介する【劇団め組】である。
株式会社という形態を持つ、プロの劇団。それ故に、常に完成度の高い作品の提供が求められるとも言える。
その内実は如何なるものか・・・そのプレッシャーとは・・・?
今回のBACK STAGE REPORTでは、【劇団め組】演出兼社長/与儀英一氏・脚本/合馬百香氏と主演俳優の藤原習作氏・新宮乙矢氏のインタビュー、更には次回公演作『歌舞伎草紙 ひとり忠臣蔵』の稽古風景をお届けする。
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BACK STAGE REPORT 〜劇団め組 公演『歌舞伎草紙 ひとり忠臣蔵 』【取材リポート、稽古風景】〜




ファンの方が運営されている応援サイトまであるという、まさに「知る人ぞ知る」と言うべき「劇団め組」。今回は十二月に公演される「歌舞伎草紙・ひとり忠臣蔵」、その稽古場にお邪魔した。
案内されると、演出家である与儀さん、脚本家である合馬さん、その他スタッフの方が見守る中、すでに稽古は始められていた。
公演まで一ヵ月を切っていることもあり、行なわれているのは緊迫した通し稽古である。……事実、まさに「緊迫」としか言い様のない空気で稽古場は満ち満ちていた。
実際に音楽を流し、着物を身に付け、小道具も並べられている。すでに台本を手にしながら臨む演者は一人もいない。限りなく本番に近い、張りつめた通し稽古である。
進行されていく芝居を食い入るようにじっと見つめる与儀さんと合馬さん。その中で特に興味深く感じたことは、我々が拝見している間、二人がついに一度もダメ出しを入れなかったことである。
台詞に詰まろうと、噛もうと、稽古は一度も切られることなく続けられた。中断されないので、必然的に演者たちはそのまま演技を続行していく。アドリブを入れ、切り返し、時には笑いに昇華しながら、自分たちで芝居を立て直しつつ進行させていくのだ。
しかもその立て直しの巧みさたるや、次第にそれが既存の台詞なのかアドリブなのか、よく分からなくなってしまうほど絶妙であった。……これってもしかして、もの凄いことじゃなかろうか?
確かに、いわゆる「トチる」という事態が起こらないに越したことはない。しかし、個人的な意見としては、そういう予期せぬハプニングが起こる可能性を孕んでいるのもまた、ライブである舞台演劇の一つの醍醐味であると思う。
それが起きたときに、無理なく芝居を立て直す機転、さらには観客に「トチった」ことすら悟らせない対応……それは類稀なる技術やセンス、経験があればこそなせる業に違いない。そして、今まさに「劇団め組」にそれを垣間見た気がした。
……などと偉そうに述べてしまったが、つまりはその立て直しの妙に、「うお〜、凄い」と単純に驚き、感動してしまったのだ。
ちなみに、演者さんたちは公私共に仲がいいと言うだけあって、暗転中のアイコンタクトなどのチームワークも実に息が合っている。
感銘を受けたことがもう一つあった。
それは、僅か三十分ほど見学させて頂いただけであったものの、誇張やお世辞ではなく紛れもなく稽古場に「元禄時代」を感じたことである。
「日常からいつも所作を意識している」という徹底した役作りへのこだわり通り、看板役者である藤原さん、新宮さんをはじめとする出演者さんたちの一挙手一投足には、当時の時代の人間としての趣(おもむき)というか、説得力が感じられるのだ。
小さな空間に出現したこの元禄時代は、たとえ外で救急車がサイレンを鳴らそうが、バイクの騒音が聞こえようが、背後に空気清浄機が置かれてようが、全く意に介さない「完成された世界観」の下に見事に成り立っているのである。
……正直言って、自分が持つ元禄文化のデータは皆無に等しい。せいぜい「上方の武士と町人が主な担い手だった文化らしい」とか、「酒代が安くなり、アル中が急増したらしい」とか、およそどうでもいい知識しかない。しかし、それでも説得力を感じてしまうのだ。
それは、一貫して時代劇にこだわり、深く追求しながら毎回の公演を積み重ねてきた「劇団め組」だからこそ醸せる臨場感なのかもしれない。
……さて、江戸時代の役者が主要人物である今回の物語は、彼らの芝居に対する思い、考え方などが劇中で語られている。
おそらくこれは、登場人物たちの言葉であると同時に、脚本家である合馬さん自身の言葉……ひいては「劇団め組」の芝居に対する姿勢、情熱そのものだと思う。
果たしてそれがどういったものであるか、是非実際に聞いてみてもらいたい。
そして同時に、「劇団め組」が現代に作り出す元禄時代の匂いと雰囲気を、是非とも体感してもらいたい。
「ちょっと格式が高そう」、「ストーリーが難しそう」と思うなかれ! この「歌舞伎草紙・ひとり忠臣蔵」は、あくまで観る人が楽しめる娯楽にこだわった作品なのである。
季節、時期的にもバッチリの今作。日本人に愛され続けてきた「忠臣蔵」の、そのアナザーストーリーをひと時堪能し、遠い時代に生きた人間たちへ思いを馳せてみるのも楽しいかもしれない。

2003/11/18 文責:毛戸康弘  撮影・編集:鏡田伸幸

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