昨年『稽古見学日記』でも紹介した【LIVES】が、近く、10回目の単独ライヴを行うという。人生の可笑しみをしみじみと描く、珠玉のコント群で人気の【LIVES】。
今回も「人を愛せ、人生を笑え」をキャッチフレーズに、観る者の心の琴線に触れる、素敵な舞台を披露してくれる事だろう。
そんな彼等の素顔に迫るため、座談会形式でお話を伺った。
参加して下さったのは、作・演出の大浜直樹さん、石橋政人さん、登守髭生さん、そして今回客演する佐藤健さんの4人。伊藤鈍一さんは都合により欠席。
場所は新宿のカラオケボックスの一室。ここがこの日のLIVESの稽古場だった。
BACK STAGE REPORT 〜LIVES単独ライブVOLUME10 【取材リポート】〜
→【終演後インタビュー

大浜直樹 氏(写真上段左)
石橋政人 氏
(写真上段右)
登守髭生 氏
(写真下段左)
佐藤健 氏
(写真上段右)

入室後、飲み物を各自頼み、早速お話を。と思ったら突然立ちあがる大浜さん・石橋さん・登守さんの【LIVES】メンバー。
「ちょっとインタビュー用に着替えてきます」
言い置いて、部屋を出ていく3人。佐藤さんは何も聞いてなかったらしく、キョトンとして見送る。
・・・5分後、部屋に入ってきた彼等のイデタチは・・・・・・いや、何も言うまい。とにかく、座談会開始だ。

最初は頭数ありき!?

― それでは、LIVES結成の経緯からお聞かせ下さい

大浜 「僕が東京に出てきて、最初2年ほどは2人芝居をやっていたんですね。でも、その・・・・・・相方がいなくなってしまって(笑)。で、大学の後輩だった彼らを呼び寄せたんです。それが始まりですね

― 誘われた石橋さんや登守さんは、東京に出てくる事に迷いはありませんでしたか?

石橋 「ありませんでしたねぇ。お前が必要や!って言われて。その時僕はちょうどプラプラしてたというか・・・何かをせなあかんなぁ、って思いながら―

大浜 「―パチンコしてた(笑)

石橋 「はい、あの、パチプロしてました(笑)。そのパチンコで稼いだお金で北半球1週の旅に出て。で、帰って来て、これからの人生について考えてる時期だったんで、『ああ、これはもう、神のお導きや』みたいな。ただ、大学を出て以来、芝居はしてなかったんで、果たして自分に出来るのか、そういう不安はありましたね。・・・・・・実際、最初に公演をやってからは1年間、修行期間というか、(大浜さんに)徹底的にしごかれました

登守 「僕もほとんど同じでしたね。僕はパチプロじゃなくって麻雀屋の店員でしたけど。迷いはなかった

― お前が必要や! と誘った大浜さん。大浜さんは具体的に石橋さん・登守さん・伊藤さんの、どんな所を必要と思ってらっしゃいました?

大浜 「頭数ですね」(一同爆笑)

石橋 「・・・・・・頭さえ付いてればよかったんかっ

大浜 「もちろん人は選んでますけどね。リストを出したりして・・・・・・で、最終的な決め手はそいつが『暇かどうか』ってことでした。何もしてない奴、人生の目的を見出せていない奴。そういう、誘えばすぐに来そうな奴を狙って(笑)。実は・・・最初の段階で、登守はそこからさえモレていた。余りにも腐ってたんで

登守 「あははははは・・・・・・いやぁ、腐ってました

大浜 「ホントに・・・・・・相当にヒドイ噂が、東京にまで届いてた

― 今ではすっかり更正なさって・・・

登守 「ええ。だからもう、救って貰ったっていう(笑)。大浜さん、僕の人生の救世主ですよ。あのまま生きてたら・・・・・・こんな格好はしていなかった(爆笑)

節目、という想いはある

― そうしてこの度、単独ライヴも10回目を迎えるわけですが、これまでを振りかえって思う事は?

石橋 「・・・・・・やればやる程、シンドくなっていくのが分かりますね。やらなければいけない事がどんどん、切りが無く出てきて。1つずつクリアーしていってる実感はありますけど

登守 「僕も・・・・・・今まで自分はなんにも考えてなかったな、っていうのはものすごい実感としてありますね。本当に、やる度に考える事がどんどん増えていく。で、それがないと、いいものは出来ないんだなと

― 10回という節目でもあり、今回のライヴでは胸に期する所もあるかと思いますが

大浜 「そうですね。節目という意識は確かにあります。このメンバーに関して言えば、さっき石橋が言った様に1年間、ライヴもせずに徹底的に僕の方法論を叩きこんだ時期もあった。そうして築き上げたものでも、変わらないという保証はないわけで。例えば、何かの事情でメンバーが変わるかもしれない。そうしたら次には全く同じやり方で、というのは無理かもしれない。だから、これまでやってきた事のケリをつけるというか、そんな気持ちはありますね。総決算、という程の事ではありませんけど

稽古は常に濃密で、高いテンション

― ところで、ある意味、罰ゲームの様に1人だけ私服の佐藤さん・・・

登守 「いや、僕らのこれだって私服ですよ

― 失礼しました(笑)。・・・佐藤さんが【LIVES】の公演に参加するのは今回で2度目ですね

佐藤 「はい。去年のROPPONGI NIGHTS(長編)に初めて参加させて頂いて、今回が2度目です。もともと【LIVES】さんのライヴは機会がある毎に拝見していて、学ぶ所がたくさんあった。だからお話を頂いた時に、どうせ学ぶんなら中に入ってビシバシ鍛えてもらおうと思いまして、参加を決めました

― 参加してみて、改めて感じた面白さは?

佐藤 「さっき大浜さんが方法論のお話をされてましたけど、僕も元々【空中バレエ】という劇団で3年くらいやってて、そこの演出を受けてきた。その演出と、面白いくらいに創っていく過程が逆なんですね。例えば、今までだと役の中側を作ってから、外側を決めてきた。けれども【LIVES】では役の外側を完全なまでに作って、そこにドスンと中身を入れる、っていうように。だから、今までの自分の経験を1回抜かないと稽古について行けない。そこが面白いですね

― 【LIVES】の皆さんの、稽古での印象は?

佐藤 「モチベーションが高いですね。稽古中、『はい、ここでは息を抜いて。はい、ここから上げて行こう』みたいなのが普通だと思ってたんですけど、【LIVES】では常に濃密で高いテンションが保たれている、っていう。本当に、気持ちで負けないようにしないと、皆さん、気持ちが高いですから

― 折角ですから【LIVES】の皆さんにも、佐藤さんの魅力をアピールして頂きましょう

登守 「・・・・・・酔っ払った佐藤君はサイコーですね(笑)。もう、ず〜っと1人で喋ってますからねぇ。たまに壁に向かって。面白いですよ〜

大浜 「(笑)・・・・・・姿勢がいいですね。芝居に取り組む姿勢が。僕、どうしても演出する時、キツくなる傾向があって、役者によっては文句を言う・ふて腐れる・テンション下げちゃう、そんな人がいますけど、彼はそういう所、全く無いですね。もちろん、意見はちゃんと言います。そして僕もそれは聞く。そういう、前向きな姿勢があるから、吸収は早いですね。・・・・・・・ま、ちょっと褒め過ぎましたけど(笑)

石橋 「タフさがありますね。打たれ強い

登守 「パンチドランカーになってるんちゃうか? 普段から酔っ払ってるようなトコあるから(笑)

作品創りに影響するもの

― 今度のライヴ、お客さんにここを見て欲しい、というのは?

大浜 「今回、漫画になった『マイライフ』(原作・大浜直樹 / 作画・きら)っていう作品も舞台でやりますから、漫画を読んで下さった方には、漫画と舞台を見比べて頂くのも面白いかと思います。また、ライヴ全体としては、これは今までもそうだったんですけど、物凄く一生懸命に、真剣に生きている人々を、僕らも今まで以上に一生懸命に、本っ当に真剣に描いてみたいって思います。そこを観て頂きたい。きっとそれが出来れば、ギャグや小手先に頼らなくても、お客さんには笑って頂けると思うんですよ

― 漫画のお話が出ましたが、今回、どういった経緯で漫画の原作を?

大浜 「前回の公演を観に来ていらした漫画家さんが興味を持って下さって、それで原作のお話を頂きました。・・・・・・僕、漫画が好きで、昔は漫画家になりたかったくらいですから、原作の話はすっごい嬉しかったですね

― では、作品を創る上で影響を受けている物があるとしたら、それはやはり漫画ですか?

大浜 「ええ、そうですね。漫画ですね・・・・・・あっ、でも、映画かもしれないな。僕、大学ぐらいまでは『ムッチャムチャ漫画』でしたけど、その頃に、クロスするようにして『ムッチャムチャ映画』になったんで

― 映画では、どんな作品がお好きですか?

大浜 「日本では北野武、海外ではコーエン兄弟の作品が好きですね。・・・コーエン兄弟の作品って、出てくる人間達がとにかく面白いでしょう? そういう所で・・・うん、影響あるかもしれませんね

愛があれば、どんな役だって出来る

― 今後【LIVES】で、こんな事をやってみたい、というのがあればお聞かせ下さい

大浜 「思っているだけでいいんですよね? ・・・・・・僕は、長編がやりたいですね。前回やった時、面白かったし。上手く出来なかった部分に対してのリベンジもしたいし

登守 「個人的には、僕、大浜作品なら何でもいいんですよ。向上心の薄い男ですからねぇ、僕は(笑)。もう・・・与えられた事、それだけは全部やる。ビシッとやる。そういう想いがあるくらいで・・・・・・

石橋 僕は・・・大浜さんに映画を撮って貰いたいですね。で、その映画に出たい

大浜 「うん、映画は撮ってみたい。興味ありますね

石橋 あと、大浜作品でまだ世に出ていないものが幾つもあって、それは僕らがその作品に追いついてないからなんですけど、それをやれれば、って思います

― 大浜さんに伺いますが、この役者さんにこんな役をやらせてみたい、というのはありますか?

大浜 「う〜ん・・・・・・こんな役を、というのは・・・・・。今ね、出来ないものがたくさんあり過ぎるんですね。でもそれは役者としての力がどうとかじゃなくて、僕は考え方だと思ってるんですよ。考え方一つで全く変わる・・・・・・役者が『役になる』といっても、別人にはなれない以上、自分を通すしかない訳ですよね。で、自分を通すっていう事は、実はどんな役にでもなれるっていう事なんですよ。自分が演じる役を心底愛していれば、ですね。愛がなければそれは物真似ですし、その物真似がどんなに上手くたって、それは演技とは言わないでしょう

― 役を愛する、ですか

大浜 「ええ。愛があれば、どんな役でも出来ますよ・・・・・・あ、そうだ。『やらせたい役』っていう質問に戻ると、石橋にしても登守にしても、最っ低のひも男を演じさせてみたいですね。今は無理でしょうけど、でも彼らが出来れば、僕がやるよりずっと面白くなると思うんですよ

― 最っ低のひも男・・・・・・自称「ひも」の登守さんとしては今のお話、どう思われますか?

登守 「そうですね。僕は自称『ひも』なんで(笑)・・・・・・自分のしている事を客観的に見られるようになって、そんな自分を愛せれば、きっとその役が出来るんじゃないかと・・・

大浜 「出来ますね・・・・・・よく役者に、『お前、普段やってるやん!』って言う事があるんですよ。その、普段やっている事が、得てして出来ないんですね。自分に近過ぎると、心のドコかで拒絶反応が起こって、距離を置いてしまう。これは自分じゃない、って。面白いですね

登守 「・・・・・・確かに僕、引け目を感じてますからね・・・・・・まだ愛せない(笑)

― 今日は有り難うございました。最後に今度のライヴの宣伝を一言。

大浜 「はい。今度のライヴは本当に楽しいライヴにするんで、ぜひ観にいらして下さい。それと、今僕らがしているこの格好は、今度のライヴとは全然関係無いんで、それだけは誤解のない様に(笑)
この後、4人は稽古に入るという。不審に思った客の通報で、彼らが部屋を追い出されない事を祈りつつ、カラオケルームをあとにした。

新旧作品を織り交ぜ、客演も迎えて臨む今度のライヴ。それは、10回の節目に相応しいライヴになるだろう。【LIVES】経験者も、未経験者も、必見である。

人を愛せ、人生を笑え

彼らが愛した登場人物達はその日、その舞台の上で、どんな人生を見せてくれるのだろう。
2003/4/8 文責・インタビュアー:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸
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