level-blue】前回公演「deep-blue」公演写真に魅了された我々は前回に引き続き、【level-blue】の魅力を探るべくインタビューを敢行した。
[deep-blue]公演写真等取材リポートインタビュー
BACK STAGE REPORT 〜level-blue[mist] 【取材リポートアトリエインタビュー】〜
〔mist〕公演写真


2003年6月21日14時30分、大阪、谷町6丁目駅に降り立つ。
台風6号の過ぎ去った跡を其処彼処に見つつ、歩くこと5分。level-blueのアトリエに到着した。
 制作の久保田さんに案内され、2階へと足を踏み入れる。そこで出迎えてくれたのは、大量の、へんてこな棒状の布。今回公演「mist」の舞台造形に使うのだと、久保田さんが説明してくれた。
 布で作った棒で埋め尽くされたその部屋を抜け、奥の部屋へ。
 そこには、アンティークな小物や、今回公演の資料にもなったであろうデザイン本などが数多く置かれていた。ちょっとカフェの様でもあり、クラブのたまり場の様でもある。なんとも落ち着く雰囲気の部屋だった。その部屋で、主宰のいがらしだいすけさん、出演の久保理恵子さん・本岡麻美子さん、スタッフの本岡麻里子さんが待っていて下さった。
 いがらしさんに「mist」の舞台デザイン図を見せて頂きながら、みなさんにお話を伺う。

2年がかりで構築した「mist」の世界観

― 今回作品「mist」は、準備に約2年を費やしたそうですが

いがらし 「本当は、前回公演が終った時に『一年後にやりたい』という話をしていて・・・その時点で、次回は『霧』をテーマにして作品を創ろうじゃないか、というプランを僕が出したんです。僕が何となく『mist』の世界観の背景を書き出して、それを皆に渡して、皆のイメージを膨らましていこう、という作業が2年前にあった。ただ、公演を行なう上で、どこか面白そうな場所はないか。その場所探しに時間がかかってしまい、公演が先延ばしになってしまったんです。もちろん、その期間もずっと『mist』のプロジェクトは進行していて、皆の意見を聞いて『mist』の世界観をどんどん修正していって・・・半年くらい前ですね、やっと今回やろうとする『mist』の骨格が出来あがりました。なかなか時間のかかる作業なんですね

本岡麻美子さん

久保理恵子さん

実際にあるかのように創りたい

― 2年間の準備期間など、他の劇団ではあまり見ることはありませんね

いがらし 「僕らは劇団ではなくて・・・『スタッフ集団』という言い方をよくするんですけど・・・役者が舞台を創るというのではなく、スタッフが集まって創った風景にスタッフが立つ。そういう考え方にlevel-blueは近いと思います。技術を持った人間が一生懸命空間を創って、その空間に息を吹き込む為にそこでお芝居をする。そういう意味で、いわゆる劇団とは違うんじゃないかと思いますね

― まず、空間ありき?

いがらし 「そうですね。まずは空間を創りたいと思っているんで・・・。
(舞台デザイン図を指し)これも物語りの為の風景ではなく、自分たちがイメージした『霧』の中でありえる不可思議な風景、空間というものを考えて出来あがったものなので、その風景でどんな物語が展開されるかというのは後から生まれてきた。ただ、その風景に物語が乗っかることで、風景もまた進化していくんです。すごく面白い作業なんですよ


― ジオラマみたいですね。

いがらし 「そうですね。僕らがしているのは立体造形物を創るということですから、そういう意味ではジオラマに近いですね。ただ、それを原寸大のリアルな大きさでやってしまうというのは他には無い形態ではないでしょうか。・・・実際にあるかのように創りたいので、平面パネルに絵を書いて美術表現をする、ということは一切していません

― その空間に久保さんは立つわけですが・・・初出演ですね。どんなお気持ちですか?

久保 「どうですか・・・どんな感じなんでしょう、という感じです(笑)。楽しいやろな、って

いがらし 「この風景を創るのにすごい時間を費やしてますよね。で、この子(久保さん)・・・ユンという役を演じるんですけど・・・この子はユンという存在を自分の中で創っていく過程で、実際にこの風景を創るのに携わり、その中の住人として自分を創り上げてきたわけです。時間をかけて。だから、そこに身を置いた時はすごく気持ちがいいだろうし、すごく合点がいって、そこに立っていられると思うんです。これはやってみないと解らない感覚で、いろんな意味でいわゆるお芝居を超えていると思うんですよね

空気で伝えたい

― 一から全てを創り上げる世界・・・

いがらし 「ええ。僕等は現実を生きているんですけど、それに匹敵するくらいのリアリティ、この風景に対するリアリティが僕らの中にはあるんですよ。一つ一つイメージして創り上げたものですからね。だから、お客さんはこの風景を見て『こんな風景見たこと無い』『不思議な風景だ』と思うかもしれないけれど、出演者としてその風景に立っている僕らはそれをすごくリアルなものだと思っている。舞台上にある何一つをとっても、何故其処にあるのかを理解して立っていますから

― 今回は『霧』がテーマということですが

いがらし 「『霧』です。色も無い、実体の無いものをテーマにしてイメージを広げていこう。そうしてこのプロジェクトが始まりました。・・・以前アイルランドに行ったんですけど、そこで見た霧の風景はアジアには無い風景だったんですよね。その霧の中で繰り広げられる不可思議な出来事というのは僕らが日常味わえないものがあるんじゃないかなって思って、アイリッシュケルトの宗教観、世界観、民族性というものを掘り下げていった結果、こういう風景が出来あがったんです

― その風景ですが、前回公演の写真、あるいはホームページなどを見ても【level-blue】の作品には、「廃墟」というものを強く感じるのですが・・・

いがらし 「廃墟は好きです(笑)。廃墟というものには歴史があるじゃないですか。十年・二十年というものや数百年・数千年の遺跡もある。遺跡という物はそこで繰り広げられた人間模様だとかいろいろ知っているんですよ。そういった一時代が終わった風景にとても惹かれるものがあって・・・。廃墟というのは記憶を持っている。そういう面白さっていうのはお客さんにも伝わるんじゃないかな?
僕の創るのは架空の廃墟ですけど、僕らがそれをリアリティーをもって創ることで、お客さんにも、ここで興った文明を少しでも感じてもらえるんじゃないでしょうか。そして、僕らはそれを言葉・物語で伝えるんじゃなくて、空間の持っている空気で伝えたい。伝わるかどうかは僕らの想い次第ですけど・・・僕は伝わると思っています


― この作品をこんな風に観て欲しい、というのはありますか?

いがらし 「そうですね・・・ここでお話が展開されるんですけど、話の内容でで感動するというよりも・・・空間の持っている空気というものを感じて頂きたいですね。
僕はここに来たお客さんがこの風景を見てイメージを拡げるお手伝いをしてあげたい。そのためのお芝居だと思っています。お客さんが受け止めたイメージというものが答えであって、いろんな人が来ていろんな思いをめぐらしてくれることが楽しみです

魔法をかけて・・・

― 最後に、今公演の見所をお1人ずつ

久保田 「舞台の創り込みは劇場の公演の比ではないと思うので実際見てもらうのが・・・自分も見てみたい

いがらし 「こんな風景というのはプロの造形屋にやらしたら、金さえかければ簡単にやりおると思うのですけど、僕らは努力の技術なんで(笑)・・・。金をかけずに努力で創ることによって風景にしてゆくんで。魔法をかけて(笑)

本岡麻美子 「細かい部分まで創り込んでいるんですが、感じてもらえたら・・・

久保 「うーん・・・蔦! 蔦じゃない物が蔦になるとか、これじゃないものがあれになるとか、さっき魔法といいましたが、魔法をかけてこうなるんやというのが、なんなんやろ、なんか面白いなーと思って、人が考えてそれに近づけていくっていうのが面白いです

 約一ヵ月後、大阪南港に一つの世界が生まれる・・・【level-blue】による「mist」の世界だ。その世界に漂う「霧」の中で我々自身が感じる思いを確かめたい。


本岡麻美子さん(左)と久保田めぐみさん(右)

ラフレシア円形劇場祭が行なわれた南港

●level-blue展in無花果(いちじく)
・日時:2003年7月15日〜7月27日
・場所:カフェ&ギャラリー無花果

(文中、一部敬称略)
2003/6/21 文責・インタビュアー・撮影・編集:鏡田伸幸

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