今回のBACK STAGE REPORTは、練馬区にある【劇団黒テント】のアトリエからお送りする。
奇しくも、前回までの「ラフレシア円形劇場祭レポート」に続き、野外(テント)公演を間近に控えた劇団の稽古場にお邪魔することとなった。
テント公演の<東の雄>、【黒テント】が今回取り組む舞台は、その名も『絶対飛行機』。あの、‘9・11’を、演劇の言葉で語る、そういう芝居である。
アメリカのイラク攻撃が続く中、あの日に立ち帰る【黒テント】、その意気込みや如何に。
充実の稽古風景と共に、役者さん、作・演出の佐藤信氏、プロデューサーの宗重博之氏へのインタビューをお届けする。
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BACK STAGE REPORT 〜黒テント公演「絶対飛行機」 【取材リポート宗重博之インタビュー】〜

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宗重博之 氏
(劇団黒テントプロデューサー)

今回はテント公演ということで、制作面で苦労の多かった事は想像に難くない。プロデューサーの宗重博之さんは公演に漕ぎ着けるため、現地・北千住に足繁く通ったという。舞台を陰で支える宗重さんに、今公演にまつわる裏話を伺った。

北千住の匂いに惹かれた

― テント公演ということで、苦労も多かったと思いますが

 テントは私が入った頃からやってましたし、苦労も楽しみのひとつです・・・それに今回のテントはリースですから、外側だけは業者さんに立ててもらえるんです。以前は自分たちで鉄管担いで立ててたんで、その事を思えば大したことは・・・・・・なにせ、前は24〜25名で1時間ぐらいかけてたのが、今回は2人で30分ですからねぇ。お金はかかりますけど(苦笑)。

― 北千住という街を選んだ理由は?

 候補地という事では六本木の広場もあったんですけど、やっぱり匂いですかね。呼び寄せる何かがあったといいますか。それと、今、足立区は行政が演劇に関心を持っている区なんですね。テントが張れそうな場所があると聞いて教育委員会とか産業振興課に伺った時に、ちょうど区も演劇を渇望していたという事があって、それでうまく良い態勢が組めたというのがありました。

― 東京でテントを立てるとなると、大変ですか?

 そうですね。公有地は難しいですねぇ。私有地を借りられない事もないんですが、そうなると非常に高い。東京都はほとんど土地を貸さないですし・・・・・・それでも、探せば無い事はないんです。ただ、利便性の問題もあるし、なによりテントを張る場所によって作品のイメージに影響が出てきますから、張れれば良いという訳にもいかない。作品あっての場所選びですからね。

顔が見える付き合いを

― 北千住の住民の方の反応はいかがでしたか?

 最初はやっぱり・・・・・・劇団っていうと得体が知れないし、住民の皆さんにとっては不安ですよね。だけど前回、1ヶ月間もテントを張ってそこに通って・・・・・・こちらの顔が見えて来てからはコミュニケーションも非常に上手くいきましたね。そうやって前回の公演で信頼関係をある程度結べていたんで、今回は始めから大した問題もなく、良好でした。商店街の方達とも顔見知りになって、チンドン屋として周っていると、「頑張れよ〜」なんて声かけて頂いたりしますしね。

― なんでも、今回は黒いアドバルーンを上げるとか。信頼がないと、ちょっと引きますものね(笑)

 そうですねぇ(笑)。黒ですからねぇ。まぁ、役者の表現とは違った、制作的表現を作っていきたいなということで。

― やっぱり、そういう街中でやると、公演はお祭り的雰囲気になるのでしょうか?

 そうですね。演劇自体が祝祭的なものを持っていますから。特に去年の作品は大衆娯楽時代劇でしたから、お祭りみたいになって。ただ、今回は作品が9・11をテーマにしていますし、お祭りという雰囲気では難しい。でも、やっぱり楽しい芝居を創りたいですね。来て、ワクワクするような何かを作っていこうと考えてます。

― 9・11がテーマということで、宣伝面でも気を使ったのではないですか?

 それはありますね。ただ、題材にはしてますけど、戦争反対だとか、誰を支持するとか、そういう事を謳う芝居ではないので、その辺はしっかりと一線を画して宣伝していこうと思っています。そこに気をつけないと、どうしてもこの時期、戦争と絡めて見られてしまいますから。「反戦ですか?」っていうふうに。

如何に超えるかが課題

― 公演から少し離れますが、現在の演劇をとりまく状況というものをどう捉えていらっしゃいますか?

 芝居をやろうと思えばプロデュースで出来る。そういう意味では、いろんなバリアーがなくなって、芝居というものがやり易い状況なのかもしれませんね。そんな中で、だからこそ劇団でやる意味が今、問われているんじゃないかと思います。例えば今回のうちの芝居も劇団だからこそ出来るものだと思うんです。そういった、劇団のメリットを追及した芝居を求めたいですね。

― 【黒テント】さんの今後の目標もそこですか?

 ええ。集団性を活かした演劇。・・・・・・あと、世代交代ですね。第一世代が創り上げたものを、そろそろ乗り越えるような芝居を、って思いますね。役者もそうですし、演出家も、佐藤信を超えるような演出家が出てくれば・・・・・・その、いかに超えるかというのが、これから若い人達の課題かな、と。その点で言うと、今回のこの作品は創立メンバーが一人も出ていないんですね。若い人達が、それぞれが考えながらやっている。だから、その意味でも期待したい作品ですね。これをきっかけに【黒テント】という集団も変わっていければいいかなと。今の自分の立っている位置というものを、役者がちゃんと見つけてくれれば。そう期待しています。

観てもらいたいのは「人」

― 話は戻りますが、テント公演の魅力ってなんでしょう?

 分業化しない、ということでしょうか。それと、顔が1番良く見えるということ。テントに行くと、まず、役者の顔がよく見えるんですよ。お客さんの顔もよく見えます。反応だとか、表情だとか。あと、野外っていうのが・・・・・・僕なんかは非常に解放されるんですね。劇場に行ってると、時々頭が痛くなる(笑)。それがテントではないんですね。どんなに辛い事があっても。・・・・・・・辛いんですけどね(笑)。雨が降ったりだとか、なんか汚れたりだとか、でもそういう事って関係なくなっちゃうんですよ。決して物質的に恵まれた空間ではないんですけど、居心地がいいんですね。

― 最後に、今公演、ここを1番観てもらいたいというポイントを1つ

 それはもう、役者に尽きますね、観て頂きたいのは。役者の表情であり、役者の身体であり・・・その生き様を(笑)! 人を、舞台に立った人を、観てもらいたいですね。
テント公演は「気分良く取り組めるので、体に良い」と言う宗重さん。やはり宗重さんも佐藤さん同様、テントにホームグラウンドの居心地の良さを感じてらっしゃるようだ。お言葉通り、苦労など感じていない、そんな笑顔が頼もしかった。

それにしても、黒いアドバルーン・・・・・・想像だけでも期待が膨らむ。
2003/4/6 文責・インタビュアー:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸
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BACK STAGE REPORT 〜黒テント公演「絶対飛行機」 【取材リポート宗重博之インタビュー】〜

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