BACK STAGE REPORT
(稽古見学記)


「ひとみ座」の稽古風景を見学に行ってきました。


久し振りに降った雨の3月1日、神奈川県元住吉に到着。商店街を通り抜け、歩くこと十数分・・・。
川沿いに青い建物が見えた。此処が『人形劇団ひとみ座』さんのスタジオである。

今回訪問するのは、「演劇ライター集団 Team engekizin」の小野・菊池、そして「BACK STAGE」の鏡田の3人組。
14:50―劇団の事務の方に案内され、本館の大きなスタジオに緊張しつつ入ると、劇団員の篠崎亜紀さんが、温かく出迎えてくれた。篠崎亜紀さんは今回の稽古場見学のナビゲーターもして頂いた。

ここで、掻い摘んで『人形劇団ひとみ座』について触れたいと思う。
『人形劇団ひとみ座』は、戦後日本の焼け跡と闇市の時代から続く歴史ある劇団で、代表作に「夏の夜の夢」「長くつ下のピッピ」「ズッコケ三人組」又、テレビ番組で有名な「ひょっこりひょうたん島」も『ひとみ座』の作品である。
詳しくは、劇団HPへ。
スタジオの中に建てられた舞台の上では、演出効果の緻密な段取りを行っていた為、我々は篠崎亜紀さんへインタビューを行った。「役者と人形の関係」や「篠崎さんがひとみ座に入団したきっかけ」等、我々の遠慮のない質問に笑顔でそして真剣に篠崎さんは答えてくれた。「人形劇だったら、何でも出来るんです。」「視覚的に面白い」・・・篠崎さんの「人形劇に対する思い」が我々に伝わってくる・・・篠崎さんが人形を介して思いを伝えるように、我々を介して人形劇の面白さを世に伝える・・・何時しか我々はまるでマリオネットのように操られていた・・・なるほど、この魅力が『ひとみ座』の魅力なんだな。
約一時間ほどのインタビューを終えた後、篠崎さんより
「他の施設も案内します」と・・・。
篠崎さんの後に続き我々はアトリエを出ようとした時、忙しい筈の劇団員の皆様が今回の公演に使う人形を操作して我々に見せてくれた。
まるで人形そのものが生きているようである。
ミュージシャンのギターように、レーサーの車ように、人形を体の一部のように操っていた・・・。
本当に人形を愛しているんだな・・・。

劇団員さんに挨拶をして、アトリエを後にした。
別館にある人形や舞台装置などの製作を行うアトリエに案内された。
作業場1Fでは、舞台装置の作成を行っていた。此処で篠崎さんから美術の片岡昌さんを紹介される。
この片岡さんこそ、芸術性にも高いひとみ座の舞台美術・人形美術を手がける人形劇美術の第一人者である。
我々のような若造にも丁寧な挨拶を頂き、恐縮しながらも『ひとみ座』の温かさを感じた。
地下一階に下り、人形作りのアトリエに・・・。
まるで高校の技術室を思わせる作業場では、発泡スチロールや人形の設計図・作りかけの人形など所狭しと置かれていた。
各スタッフさんが、黙々と作業を進めている。
人形になるであろう一つ一つの部品は、どれも精巧でまさに職人技である。
その後、人形が置かれている倉庫へ・・・どの人形も魂があり今にも動かんとしている様であった。

一通り『ひとみ座』を案内され、我々は篠崎さんにおいとまする旨を伝え『人形劇団ひとみ座』を後にした。
雨の中来た道を帰る途中、『ひとみ座』のアトリエを振り返り見た・・・。
工場・・・ファンタジー製造工場・・・そんな言葉が頭の中に浮かんだ。

現代のオートメーション化された機械的な工場でなく、分業(アイデアの分担)にもとづく協業(チームワーク)を基礎としたマニュファクチュアのようである。
振り返ってみれば、今回の稽古場見学中にお会いした劇団員の方々全員からある温かいような、優しい雰囲気を感じ得た。
きっと、自分の作品という生産物を本当に愛しているが故だからだろうか?

お終りに、篠崎さんの「人形劇だったら、何でも出来るんです。」を裏付ける『ひとみ座』公演「少女と魚」のチラシの安部公房氏の言葉を、今後様々な業界とコラボレーションできる事を期待し、敢えて付記する。

安部公房氏の言葉

人形劇をあまり特殊なものに考えることには反対で、やはり芸術の綜合という見方に組み入れられていいものだと思います・・・(略)・・・非常に自由な表現ができる筈だが、妙に児童向きの翻訳のような先入観がありますね。
そういうものを乗りこえたところでいうと、今度はやたらとモダニズムの・・・(略)・・・否定的なことばかり言ってきたようですが可能性としては、新しい舞台表現が出来るという感じがする。仕掛けの面白さというものもあるよね・・・(略)・・・やっぱり人形の発想というのは大衆的なものがあるでしょう。民衆というか、そういうものの自由さをフルに生かしたものでなければ・・・(略)・・・思い切りファンタジックな、しかもそれは近代主義的な意味じゃなくて、むしろお化けとか、そういう世界のもっているファンタジーがフルに浮かび上がってくるような舞台が出来たら・・・(略)

2001/3/1 文責・撮影・編集:鏡田伸幸  インタビュアー:小野正昭/菊池

人形劇団ひとみ座
劇団名 日時 タイトル 劇場 お問い合わせ HP 詳細
人形劇団ひとみ座 3/17(土)〜3/22(木) 少女と魚 俳優座劇場 hitomiza@mxu.mesh.ne.jp ★★★
キャッチコピー
安部公房の奇想天外ファンタジー!大人のための人形劇 本邦初演!

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