BACK STAGE REPORT
(観劇記)


2001年7月1日うるとら2B団公演「COPY」

漆黒に沈んだ舞台上に光が生まれる。床を走る光の帯。その上を静かに歩き過ぎる人々。
光の流れは何かを思い出させる。ああ、これはアレだ・・・。
・・・芝居は非常に印象的な、且つ手の込んだシーンから始まった。

一転、明るくなる舞台。役者が次々に登場する。それぞれが思い思いの会話をしながら動き回るので、静かに始まった芝居が、見るみる賑やかになって来た。
気付けば、狭い舞台上に13人。これはちょっと息苦しいぞ。
だが、どうやらそこはシェルターのような施設の中らしい、ということが次第に判って来て、舞台上の人口密度の高さにも納得する。彼等はなんらかの理由でその施設のある小さな島に流れ着いた人々のようだ。どこかちょっと奇妙な衣装を身に纏ったその13人が、時に騒然と、また時には整然と舞台上を行き交う形で芝居は進んで行く。幾つもの謎を残しながら。


今回のこのお芝居はSFである。それゆえ、当初、用語や設定に戸惑う向きもあるかもしれない。だが、SF的な情報量の多さに全対応しなくても、人間ドラマを追う、という芝居を見る上で当たり前のアプローチで充分楽しめるので、難しく考える必要はないだろう。以前お会いした時、門間氏もSFに関してこう言っていた。SFはとにかくディテールが大事だし、その点では徹底的にこだわるけれども、本当に描きたいのは人間ドラマなんだ、と。


・・・やがて、舞台上で一つの事件が起こる。登場人物達の存在を根底から揺さぶるような事件が。状況(どんな状況下は伏せるけれど)からすれば能天気とも思えた登場人物達がこの事件を機にそれぞれの葛藤に捕われる。
人間、とは? 生きる、とは?

そして、彼等がその葛藤を軽やかに飛び越えた時、再生の物語が完結する。或いは再び始まる・・・。


公演後、門間氏とお話をする機会があった。筆者の口をついこんな言葉が滑り出る。
筆者 「いやぁ、情報量多いですねぇ。まんまと混乱させられました」
門間氏は笑って応えた。
 門間氏「ははは。それも狙いですから・・・」
本心は判らない。ただ、一つだけ言えるのは、実はこの芝居は見かけとは(或いは氏の言葉とは)裏腹に、非常に解り易く作られているということだ。
例えば冒頭。最初に登場するのが、それまで寝たきりで状況が飲み込めていない<テツ>という人物。つまり観客に一番近いポジションにいる人物である。彼が混乱して喋るセリフから芝居が始まる事で、先ず誰に感情移入すれば良いかを明確に示している訳だ。更に登場人物によって「舞台上での出来事をリアルに感じている」度が微妙に変えて設定されているので、それ以降も、見る側は段階を追って感情移入出来る様になっている。これは門間氏が注いだ構造上の親切さ、だと思う。或いは頻繁に出てくるIT用語にしても、さっぱり解っていない<ギンジ>という役を設定する事によって、そんなの解らなくてもこの世界をリアルに感じる事が出来ますよ、と説いている。素直に観ていればちゃんと楽しめる様に出来ているのだ。
では何故筆者が混乱したかといえば、最初から細部を楽しむ余り、あちこちで深読みしてしまったためだ。もっとも、そんな深読みも受け入れるこの芝居のキャパの大きさのおかげで、最後にはすっきりとしたけれども。

そこで今後この劇団の芝居を観ようと思っている皆さんに提案。先ずは全体のストーリーを素直に追って観るのがオススメです。そしてそれに感銘を受けた方は、もう一度、今度は細部に眼を光らせながら観れば、深読みも含め、その芝居を何倍も楽しめることでしょう。「あの人物は何故あんな服を着ているのだろう?」そんなことを一つ一つ考えながら芝居を観るのも新鮮で面白いですよ。

当公演は2001年7月3日迄、東京大塚萬スタジオにて公演中。


2001/7/1 文責・インタビュアー:北原登志喜 撮影・編集:鏡田伸幸


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